老後の生活のベースとなる公的年金。受給に関してはルールがあり、さらに細かな例外も。対象となり驚愕するシーンも珍しくないようです。
年金月12万円だったが…「年金の繰下げで受取額約2倍」を目指していた月収15万円・72歳の清掃業の男性。年金事務所で知る衝撃の真実に「何かの間違いでは?」 写真はイメージです/PIXTA

65歳で年金を受け取れば月12万円…これでは生きていけない

加藤誠一さん(仮名・72歳)。清掃業で生計を立てています。月々の給与は15万円、手取りにすると12万円ほど。決して多くはありませんが、「老いぼれの1人暮らしなら十分だよ」といいます。

 

総務省『労働力調査』によると、70歳以上の就業率は近年増加傾向にあります。2021年のデータによると、70歳以上の男性の就業率は約15.4%であり、2022年にはこの数値が上昇し、70~74歳の男性の就業率は42.6%、75歳以上では約10.5%となっています。さらに2023年では、70歳以上の男性の就業率は33.5%に達し、過去最高を更新しています。

 

ただ同棲代は年金で生活する人も多いでしょう。加藤さんの場合、65歳で受け取れる年金は月12万円程度だったといい、「これでは生活できないな」と思っているところ、同僚から「年金の繰下げ受給」という制度があることを教えてもらい、年金を受け取ることを辞めたといいます。

 

――年金を受け取るのを我慢していれば、知らず知らずのうちに年金が増えていくっていうからさ

 

老齢年金は基本的に65歳から受け取り開始となりますが、60~75歳の希望するタイミングで受け取ることができます。60~64歳と早く受け取ることを「年金の繰上げ受給」、66~75歳と遅く受け取ることを「年金の繰下げ受給」といいます。

 

「年金の繰上げ」では、1ヵ月早めるごとに0.4%ずつ受取額は減額となり、60歳で受け取ると24.0%の減額となります。この減額率は昭和37年4月2日以降生まれの場合。それ以前生まれの人は減額率が0.5%で、最大30.0%でした。より制度が利用しやすくなったといえるでしょう。

 

一方で「年金の繰下げ」では、1ヵ月遅らせるごとに0.7%増額。75歳で受け取ると1.84%増と、約2倍に増やすことができます。また繰上げ受給とは異なり、基礎年金と厚生年金を別々に繰り下げることが可能。基礎年金は65歳から受け取り、厚生年金は増額を狙う……そんな柔軟な対応ができるのも、繰下げ受給の特徴です。

 

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