公的年金は老後の大切な収入源。ねんきん定期便で見込み額をチェックして、老後のプランを立てている人もいるでしょう。しかし、いざ振込の段階になって、実際に受け取る金額が「思っていたよりも少ない」と慌てる人がいます。それはなぜなのでしょうか? 今回は、その理由と年金請求から受給までの流れ、公的年金からなにがどのくらい差し引かれているのかについて、坂本義雄さん(仮名・65歳)の事例と共に南真理FPが解説していきます。
俺の年金額が間違えられてる!年金月14万円見込みの65歳元会社員、振込通知書に記された「想定より少ない金額」に怒り心頭も…一転「知りませんでした」と反省したワケ
年金の手取り額の現実を知り、老後の準備を
公的年金は老後の大切な収入源ですが、解説したとおり、税金(所得税や住民税)や社会保険料(健康保険料や介護保険料)などが差し引かれるため、実際に受け取る手取り額は想定よりも少なくなるケースがほとんどです。
しかも、その金額は自分で計算してみないと振込通知書が届くまでは把握できないというのも落とし穴。ただ、多くの場合、年金額面の10~15%程度が天引きされると考えるといいでしょう(年金額や家族構成、お住まいの地域によって異なるため、正確な数字を知りたい場合には年金事務所などへの確認が必要です)。
こうした現実を踏まえると、年金だけに頼らず、他の収入源や貯蓄を組み合わせた老後資金の計画が重要です。
坂本さんの場合には、親が遺してくれた自宅や老後のために貯めた貯蓄の準備もあるため、結果的には問題なく老後生活を送ることができそうです。
しかし、老後資金に不安がある人は、いざ本格的に年金生活に突入した時点で、焦らないように実際に受け取れる年金の手取り額を概算でもいいので把握しておくと安心でしょう。最寄りの年金事務所に行けば年金の手取額を知ることができますよ。
さらに、FPなどの専門家に相談することでより安心した計画を立てることができます。「老後生活は年金があるから大丈夫」と安心するのではなく、公的年金を基盤としながら、事前の計画と準備を実行することが、ゆとりあるセカンドライフに繋がっていくでしょう。