年金の手取り額の現実を知り、老後の準備を

公的年金は老後の大切な収入源ですが、解説したとおり、税金(所得税や住民税)や社会保険料(健康保険料や介護保険料)などが差し引かれるため、実際に受け取る手取り額は想定よりも少なくなるケースがほとんどです。

しかも、その金額は自分で計算してみないと振込通知書が届くまでは把握できないというのも落とし穴。ただ、多くの場合、年金額面の10~15%程度が天引きされると考えるといいでしょう(年金額や家族構成、お住まいの地域によって異なるため、正確な数字を知りたい場合には年金事務所などへの確認が必要です)。

こうした現実を踏まえると、年金だけに頼らず、他の収入源や貯蓄を組み合わせた老後資金の計画が重要です。

坂本さんの場合には、親が遺してくれた自宅や老後のために貯めた貯蓄の準備もあるため、結果的には問題なく老後生活を送ることができそうです。

しかし、老後資金に不安がある人は、いざ本格的に年金生活に突入した時点で、焦らないように実際に受け取れる年金の手取り額を概算でもいいので把握しておくと安心でしょう。最寄りの年金事務所に行けば年金の手取額を知ることができますよ。

さらに、FPなどの専門家に相談することでより安心した計画を立てることができます。「老後生活は年金があるから大丈夫」と安心するのではなく、公的年金を基盤としながら、事前の計画と準備を実行することが、ゆとりあるセカンドライフに繋がっていくでしょう。

執筆/南真理 
ファイナンシャル・プランナー

監修/伊達有希子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)