物価高騰が続く中、大学生の一人暮らしを支える親世代の経済的負担が増大しています。今回の事例では、年金受給を目前に控えた63歳の会社員が、仕送り増額を求める20歳の息子からのSOSに直面。家計の現状と教育費の実態などを交えながら、この複雑な状況への対処法について、FPの三原由紀氏が解説します。
仕送りが足りなくてヤバいです…。大学に通う一人息子からの“切実なLINE”に年収360万円・年金受給目前の父、苦悩「いったいどうしたらいいのか」 【FPの助言】
田中さん夫婦のもとに届いた息子からの一通のLINE
63歳の田中和則さん(仮名)は中部地方のとある町で暮らす会社員。定年後の再雇用により年収が360万円へと大幅に減少しました。それでも、大学に通う20歳の一人息子へ毎月7万円の仕送りを続けています。
幼い頃からメカいじりが大好きだった息子は、首都圏の工学部がある私立大学に進学。自宅からは通えないため一人暮らしです。
私大理系の授業料は高額と聞いていたものの、3年生になると実験実習費などが加わり年間180万円ほどに。もちろんそのために貯金はしてきましたが、仕送りの負担と授業料で家計は想像以上に厳しく、妻もパートに出るようになりました。
田中さんが43歳のときに授かった念願の一人息子というのもあり、望む勉強をさせたい気持ちはやまやまでした。しかし、息子の通う学部では大学院(修士)まで進学する人の割合も多く、大学卒業で教育費の負担が終わるとは限りません。まだ息子は決めかねているようですが、そのことも田中さんを悩ませていました。
親としての意地もあり、奨学金を使わずになんとか卒業させたいと考えていた田中さん。しかし、息子が大学院への進学を希望した場合、再雇用が終わる65歳以降もアルバイトをして学費を補助するか、奨学金の利用を検討せざるを得ない状況に直面しています。
そんな折、息子から家族のグループLINEへ切実な連絡が入りました。
「アルバイトの時給は上がったんだけど、3年になって実験やレポートが増えてシフトを減らさざるを得ない状況。食費や光熱費も高くなってて……ヤバいです。申し訳ないけど、なんとか仕送り増やしてもらえないかな?」