従来の「シンナー」といった物質依存型の10代の非行は減少傾向にある一方、「ゲーム依存」「ひきこもり」「パパ活」など、より複雑な問題が浮上しています。これらの変化は、経済格差の拡大、情報化社会の進展、核家族化など、社会構造の変化と深く結びついています。10代の非行は、本人だけでなく、社会全体にも大きな影響を与えます。教育の機会を逸したり、将来の就業に支障をきたしたりすることで、生産年齢人口の減少や、社会保障費の増大といった経済的な負担を増大させる可能性があります。また、犯罪に繋がり、社会不安を煽るなど、社会全体の安定を脅かす要因にも。本記事では、子どもこころ専門医・指導医である舩渡川智之氏監修の書籍『思春期の子の「うつ」がよくわかる本』(大和出版)より、社会のしくみから外れた子どもについて解説していきます。
「家出」から「ひきこもり」へ。「シンナー」は減少、「パパ活」が増加…10代の非行が形を変えて深刻化したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

レールから外れても、得意をのばす方法を考えればいい

学校というレールから外れたとき、「同じところに戻ろう」と固執するとうまくいきません。本人や親御さんが「こうでなくてはならない」という画一的なイメージを捨てきれないと、将来の可能性を自らの手で狭めることになってしまいます。

 

同じ学校、同じ学年に戻ることに無理があるなら、柔軟に軌道修正を考えるのも一案です。最近では高等教育にも多様性が出てきました。N高等学校のようなインターネットを使った通信制高校など選択肢が広がっています。「多数の人と異なる選択をする」ことについて、昔のようなネガティブなイメージは減っているのではないでしょうか。

 

思春期に精神的な問題でつまづいた場合、同じレールに戻ることだけが正解ではありません。得意を見極め、その能力をのばすため、適した環境を選びなおすことを考えてみるのもよいでしょう。
 

 

舩渡川智之

子どもこころ専門医・指導医