年下上司に追いつめられる日々に憔悴する中、見覚えのないLINE通知

瀬戸島直正(仮名、59歳)さんは、大手電機メーカーの営業部で30年以上のキャリアを積んできたベテラン社員でした。かつては部下を持つ中間管理職として活躍していましたが、会社の組織改編で若手が登用され、平社員として営業ノルマに追われる日々。

新任の上司、佐藤課長(仮名、38歳)からの容赦ないノルマ要求に、瀬戸島さんの心は折れそうになっていました。もうすぐ60歳で定年になりますが、その後も継続雇用で給料がガクンと下がるなか、この上司の下で働かなくてはならないのです。

そんなある日、瀬戸島さんのスマートフォンに見覚えのない通知が届きました。LINEのグループに勝手に追加されていたのです。

グループ名は「投資学習会」。最初は無視しようと思いましたが、グループ内でのやりとりが気になり、瀬戸島さんは少しずつ覗き見るようになりました。そこでは、投資の先生と呼ばれる人物が、生徒たちの質問に的確に答えていました。

「先生、指示通り売買したら今日の取引で10万円儲かりました!ありがとうございます!」

「素晴らしい成果ですね。これからも頑張りましょう」

生徒たちは先生に尊敬の念を示し、感謝の言葉を返していました。さらに、グループには、稼いだ資金で海外旅行に行ったり高級リゾートで過ごしたりする写真が頻繁にアップされていました。

「投資学習会」での華やかな世界を見るにつれて、瀬戸島さんの心は少しずつ揺れ始めていました。