「家族だけで静かに送りたい」「費用を抑えたい」。そんな思いから選択されることが増えている家族葬ですが、故人の人脈や社会的立場によっては、むしろ遺族の負担が増えるケースもあります。今回は化学メーカーの元役員だった父(89歳)を家族葬で見送った真坂秀一さん(仮名・59歳)が後々大きな後悔を抱えることになった事例と共に、家族葬を選択する前に必ず確認すべきポイントをFPの三原由紀氏が解説します。
「家族葬」ではなく普通の葬儀にしておけば…89歳元会社役員、尊敬する父を見送った59歳息子の「取り返しのつかない後悔」【FPの助言】
「これだけは確認を」家族葬選択前の三つのチェックポイント
今回の秀一さんの経験から三つの重要な提言があります。
一つ目は、生前に故人の意思を確認することです。葬儀の形式や規模、参列してほしい人などについて、具体的に話し合っておくことが重要です。特に人付き合いの多い場合、家族葬が適切でない可能性もあります。重要なのが、エンディングノートの活用です。遺言書は法的な効力を持つ文書であり、主に財産分与などの記載に用いられます。
一方、葬儀の形式や参列者への希望といった詳細は、エンディングノートに記しておくのが適切です。エンディングノートは法的な拘束力はありませんが、故人の希望を細かく記録できる利点があり、葬儀の準備に役立ちます。
二つ目は、葬儀費用の事前準備です。希望に合った葬儀の予算を確認しておくこと、さらに、予期せぬ追加支出も考慮に入れておく必要があります。生命保険の死亡保険金や、預貯金もしっかりと確認しておきましょう。
三つ目は、葬儀後のケアの重要性です。故人との関係が深かった方々への個別の対応や、その後の法要なども含めて検討が必要です。場合によっては、後日、「お別れの会」などを開催することも一案です。
これから大切な人を見送る方々の参考になれば幸いです。最期の別れの形は、故人の人生に寄り添ったものであってほしい。そう強く願います。
三原 由紀
プレ定年専門FP®