(※画像はイメージです/PIXTA)

国土交通省の『住宅市場動向調査』を見ていくと、住宅購入者が注文住宅に求める設備・性能は「高気密・高断熱」は62.9%に達しています。なぜいま、高気密・高断熱が求められているのでしょうか。その理由を紐解いていくと、物価高騰のなか「お得にマイホームを実現させたい」という思いも反映されていました。

 

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日本の断熱性能は低水準

「日本の住宅は先進国のなかで最も性能が低い」という事実をご存じでしょうか。「日本の家は世界的に見てもハイテクで高性能!」というイメージで考えている人は多いかもしれません。確かに床暖房は太陽光発電など設備単体をとってみるとその通りでしょう。

 

しかし建物の基本性能である気密・断熱においては、日本の住宅は先進国と比べると「違法建築レベル」の性能の低さなのです。今や、中国や韓国からも大きく後れを取っている状態です。

 

つまり日本の家は「夏は暑く、冬は寒い」ということです。

 

具体的に数値を見ていきましょう。住宅の断熱性能の指標、UA値(外皮平均熱貫流率)について日本と世界各国を比較してみると、その差が歴然とします。

 

暖房ディグリーデーという地域の寒さを示す基準を用いて、似た気温帯の地域のUA値を比較してみましょう。日本の省エネ基準地域区分における6地域と同レベルの暖房ディグリーデーに含まれる東京、米国カリフォルニア州、スペイン、韓国、イタリア、それぞれのUA値の法的な基準は以下の通りです。

 

・日本…0.87

・米国カリフォルニア州…0.42

・イタリア…0.40

・スペイン…0.51

・韓国…0.54

 

中国は新築の団地を0.26の基準で建築しています。このように日本は先進国のなかでかなりの遅れをとっていることがわかります。

 

 

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高気密・高断熱が求められている理由とは

では高気密・高断熱の住まいが世界的に強く求められているのはなぜでしょうか。ひとつは地球温暖化の問題です。

 

温暖化対策のためにエネルギー消費を抑えることが二酸化炭素の排出量軽減につながるのはいうまでもありません。日本においては運輸や産業部門の消費エネルギーは減りつつありますが、家庭部門は増え続けているのです。家庭の消費エネルギーを減らすことが求められていて、その直接的な対策が「高気密・高断熱性能を高めること」というわけです。

高気密・高断熱性能は健康問題にも影響する

地球温暖化対策と聞くと「興味ないな」と思う人も多いでしょう。しかし、自分の健康とお金に直接関係するとなると、興味を持たざるをえません。家のなかが寒いことで起こる最も深刻な健康被害は、ヒートショックです。

 

ヒートショックとは、寒暖差によって血圧が急変動し、脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こす現象のことです。これは特に体全体を露出する脱衣所で起こりやすくなります。10℃以下になった脱衣所で服を脱ぐと血圧が急上昇し、この時点で脳出血の危険が高まります。そして熱い浴槽に浸かることで今度は急激に血圧が下がり、失神して溺死してしまう危険もあります。

 

ヒートショックによる死亡者は交通事故死の約6倍と推測されていて、性能が低い日本の住宅が毎年命を奪う状態となっているのです。ヒートショックは高齢者だけではなく、動脈硬化を起こしやすい糖尿病や脂質異常症を抱える世代にも発生しています。

 

もしヒートショックによって脳梗塞を発症し運よく一命を取り留めたとしても、病院からまた寒い自宅に帰ることは大変な危険を伴います。可能であるなら、ヒートショックを起こした自宅からは引っ越したほうがいいといえます。それがもし住宅ローンを抱えた新築住宅であるならば、絶望的な気持ちになるかもしれません。

高気密・高断熱の家は「お財布にも優しい」

気密はストローに例えられることがあります。ストローに穴が空いているとうまくジュースを吸うことができなくなるように、気密性能が低い家は空気を効果的に排出することが難しくなります。

 

気密性能を高めることで、家のなかの空気を効率よく排出できるようになります。そして絶えず新しい空気を取り込み、室内の湿度が快適に保たれるようになります。さらに熱交換換気システムを取り入れることで、換気によって室温が下がることもなくなります。

 

このことで光熱費の節約という大きなメリットがあります。また湿度を一定に保つことで木造住宅の大敵である「結露」を防ぐことができます。建物の寿命を伸ばすことで、リフォームや建て替えの費用を抑えられるため、ライフプランのなかでの支出額を抑えることができるでしょう。

 

 

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省エネ住宅の種類とは

高気密・高断熱を実現できる省エネ住宅には、「長期優良住宅」「ZEH(ゼッチ)」「低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」などがありますが、ここでは代表的な2種類をみていきます。

 

長期優良住宅

長期優良住宅は2009年に始まった認定制度です。その認定の条件は

 

・耐震性

・省エネルギー性

・居住環境

・維持保全計画

・劣化対策

・住戸面積

 

となっています。特に省エネルギー性として、「省エネルギー対策等級4」を達成しなければなりません。一定以上の断熱性能が求められています。

 

ZEH(ゼッチ)

ZEHとは「Net Zero Energy House」の略称。省エネルギーを実現した上で再生エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー(石油や原子力など)消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅のことです。簡単にいうと、気密断熱の性能を上げてエネルギーを節約しつつ、太陽光発電などによってエネルギーを創出することで、実質的にエネルギー消費をゼロにするということです。

 

その基準は

 

・ 外皮(窓や屋根・外壁など)の断熱性を高め、UA値を0.4~0.6よりも低くすること

 ・省エネ性能が高い設備を採用し、エネルギー消費量を20%以上削減すること

 ・容量に指定はないが、再生可能エネルギー設備を導入すること

・上記のすべてを合わせて、エネルギー消費量を100%以上削減すること

 

長期優良住宅よりもより省エネルギー性能が求められます。

 

 

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省エネ住宅は税制上の優遇がある

省エネ住宅を取得することによって、税制面でもメリットがあります。

 

住宅ローン減税

最大13年間、各年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税額や住民税額から控除する制度です。13年間通して大きな減税を受けるため、実質的に手取り収入が増えます。貯めておくと将来の繰上げ返済の原資に使えるなど、ライフプラン上有利になります。

 

認定住宅の所得税の特別控除

長期優良住宅、低炭素住宅またはZEH水準省エネ住宅(認定住宅)を、新築または建築後使用されたことのない住宅として取得した場合には、一定額を所得税から控除する制度です。

 

住宅取得等資金贈与の非課税特例

住宅取得等資金贈与の非課税特例は、住宅の取得のための贈与であれば一定額まで受贈者(お金をもらう子ども)に贈与税を課さないという制度です。非課税限度額は贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。

 

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ほかにも省エネ住宅の新築やリフォームへの補助金制度「子育てエコホーム支援事業」(国土交通省主幹・予算2500億円)がありましたが、2024年11月30日をもって交付申請の予約受付が終了すると発表がありました。

 

国としては省エネルギー住宅の普及について本格的に消費者に支援をしていますが、優遇措置等について、いつ改正が行われたり、廃止になったりするかはわかりません。お得にマイホームを実現させたいのであれば、早めの行動がおすすめです。健康面、経済面ともにメリットのある省エネ住宅を一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

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※本記事は2024年11月時点の情報をもとに執筆しています