(※写真はイメージです/PIXTA)
「建て替え」か「住み替え」か…80歳夫婦の決断
首都圏に住むイチロウさんとナツコさん、ともに80歳の夫婦は、穏やかな引退生活を送っていました。イチロウさんは長年、地方銀行の支店長として奔走し、ナツコさんは総合病院の看護師長として地域医療を支えてきました。
二人の手元には、共働きで堅実に貯めてきた預金に加え、双方の親から引き継いだ遺産、そして退職金。これらを合わせ、金融資産は8,000万円に達していました。退職から月日は経過しましたが、日常生活を年金だけで賄えるため、貯蓄にはほとんど手を出さずにこの年まで来ました。
二人が直面したのは、築40年以上が経過した自宅の扱い。老朽化した家をバリアフリー住宅へ建て替えるか、それとも利便性の高い施設へ移るか。内閣府の『高齢社会に関する意識調査』によれば、高齢者が住み替えを検討する理由は多岐にわたります。
健康や体力面の不安:24.8%
自宅が住みづらい:18.9%
自然豊かな環境への憧れ:10.3%
買い物の不便さ:10.2%
交通の便の悪さ:9.8%
イチロウさんとナツコさんもまた、日々の階段の上り下りや庭の手入れに限界を感じはじめていました。
全財産8,000万円を背景にした「最期の贅沢」
結局、二人が選んだのは「高級老人ホームへの入居」でした。
「子どもたちにこの古い家を残しても、分割しづらくて迷惑をかけるだけ。自分たちの代で綺麗に整理してしまおう」イチロウさんはそう話し、見学を重ねた末に、周囲を緑に囲まれた豪華な施設を選びました。入居一時金は2,000万円、月額費用は35万円。「これまで家族のために身を粉にして働いてきたんだ。最期くらい贅沢したいわよね」ナツコさんのその一言が、決断の決め手となりました。
エントランスを抜ければ、高い天井と大きな窓がある開放的なラウンジ。専属シェフが旬の食材でもてなすダイニング。大浴場やフィットネスジム、さらには麻雀ルームまで完備。まさに「終の棲家」として非の打ち所がない環境に思えました。