昨今、スマートウォッチやウェアラブルバンドはじめ、健康データを日常的に計測、記録できるデバイス「健康トラッカー」への注目が高まっています。製品ごとに違いはありますが、心拍数、ストレスレベル、血中酸素濃度、活動量、皮膚温度、睡眠の質、心電図、血圧などを測定することができ、年に1度の健康診断では気づけない日常的な身体の変化をキャッチしてくれます。アラフィフの筆者も健康が気になる年齢なので、お酒を飲み過ぎた日の翌日に睡眠の質が悪かったと反省したり、トレスレベルが高い時は散歩したりと、毎日スマートウォッチを使って生活改善に取り組んでいます。今回は、健康トラッカーの最前線についてお伝えします。
自分の体を“見える化”する健康トラッカーのイノベーションと未来 (※写真はイメージです/PIXTA)

血糖値測定デバイス

今、注目を集める健康トラッカーが血糖値測定デバイスです。米製薬・ヘルスケア大手アボットの「FreeStyleリブレ」は大きめのボタンのような形の機器ですが、腕に貼り付けておくと24時間リアルタイムで血糖値を測定します。1度貼り付ければ2週間はそのまま装着し続けて利用できます。

 

糖尿病患者のための医療機器として使われているほか、最近ではダイエット目的で利用する人も増えています。何をどれだけ食べたら、どのぐらい血糖値が上がるのか。どんな運動をすれば血糖値がどう変化するのか。こうした情報がすべて可視化されます。

 

ダイエットの第一歩は体重計に乗ることだと言われます。日々の体重の変化は、食生活を改めるための情報となるからです。血糖値測定端末はもう一歩進んで、体重に変化が生じる前、血糖値のレベルから食生活をあらためるきっかけを与えてくれるというわけです。

 

FreeStyleリブレ®2(提供:アボット)
FreeStyleリブレ®2(提供:アボット)

スマートトイレ

劇的な進化を続ける健康トラッカーですが、今後さらなる進化が期待されています。

 

注目分野の1つにスマートトイレがあります。尿や便には健康に関する多くのデータが詰まっています。病院ではなく、自宅で簡単にこの情報を取得、分析しようという試みです。

 

仏ヘルスケア端末メーカーのWithingsは「U-Scan」という尿検査端末を開発しました。便器の中に設置すると、尿から取得した情報を検出します。現在は栄養や水分摂取の状態を測定する製品、ホルモンの変動から月経周期予測や排卵予測を行う製品があります。

 

大手トイレメーカーのTOTOも2021年の米展示会CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、ウェルネストイレを発表しました。普段通りにトイレを使うだけで、健康データを収集し、どのように改善すべきかを利用者に提案するというプロダクトです。ただ、コンセプトモデルにとどまっており、実用化にはもう少し時間がかかりそうです。

 

CES2021プレゼンテーション動画より(提供:TOTO)
CES2021プレゼンテーション動画より(提供:TOTO)