グローバル化が進む現代、「我が子を英語堪能にしたい」と考える人も少なくないのではないでしょうか。早期の英語教育に力を入れ、「インターナショナルスクール」への進学を選ぶ人も増えているようです。本記事では、AFPの石川亜希子氏が、インターナショナルスクールのメリット・デメリットについて、具体的な事例をもとに解説します。
うちの子もバイリンガルに!…世帯年収1,300万円の40代“教育熱心”ワーママ、インターナショナルスクールに通う6歳愛息の「まさかの告白」に後悔が止まらない【AFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

インターナショナルスクールに通うメリットとデメリット

インターナショナルスクールへの通うメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

 

・高い英語力が身につく

・探求型の学習により、自分の意見をしっかり持てるようになる

・グローバルな感性が養われ、視野が広がる

・海外の大学へ進学できる

 

いずれも、子どもの将来への投資といえます。

 

一方、主なデメリットは

 

・高額な学費

・親の負担も大きい

・日本語力が養われにくい

・卒業後の進路に注意が必要

 

となります。

 

インターナショナルスクールの学費は年間200万円以上といわれています。授業料以外にも、イベント代やスクールバス代など想定外の費用もかかるでしょう。共働きで、放課後にアフタースクールを利用すれば、年間で300万円を超える場合もあります。

 

文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」によれば、私立小学校に通っている場合、習い事など学校外での費用も含めた1年間の学習費が約166万円となっていることから、私立小学校と比べてもインターナショナルスクールがいかに高額であるかということがわかります。

 

一般的な私立校と違って、国からの補助金が制限されているということも高額な学費に影響しているでしょう。

息子が入学して3カ月で「学校に行きたくない」理由とは

高額な学費、親の負担、そのようなことはもちろん理解したうえでのインターナショナルスクールへの入学でしたが、有美さん夫婦は、想定外の壁にぶつかりました。

 

プリスクールには喜んで通っていて、英語も大好きな晴翔くんでしたが、入学して3ヵ月、「学校に行きたくない」と言い出してしまったのです。有美さんは、英語が負担なのかと考えましたが、どうやらそうではないようです。

 

くわしく話を聞いてみると、「ぼくはどうしてランドセルないの?」「放課後、公園で遊びたいのに友だちがいない」「給食がおいしくない」など、いくつか理由を教えてくれました。

 

絵本やテレビから、晴翔くんにも1年生のイメージがあったようで、それとはずいぶん違うこと、そして、アフタースクールも含めて一日中新しい、かつ英語での環境で過ごすことにも、小さな体は疲れてしまっているようでした。8月生まれの晴翔くん、スクールでは早生まれで、体も一番小さいのです。

 

また、当初、スクールとのやり取りや課題は、英語の得意な夫の和也さんが担当する予定でしたが、和也さんの会社では在宅勤務から出社への要請が高まり、必然的に比較的融通が利く有美さんの役割に。有美さん自身も、仕事の傍ら英語でのやり取りに疲れ気味です。

 

スクールの学費は月に18万円ほどで、夫婦合わせて65万円ほどの手取りのうち4分の1以上を占めます。

 

高額な学費、親も子も疲れ気味で、こんなにしてまで通う必要があるのだろうか……、有美さんがグローバルな部門で働く同僚に相談したところ、

 

「私は田舎で育ったから、留学経験もなくて。でも、将来の夢ができてから英語をがんばったの。ネイティブのように話せなくても大丈夫。大人になってからじゃ間に合わないなんてことないわ

 

といわれ、ますます悩んでいます。

 

今なら、公立の小学校の4月の入学式に間に合います。

まとめ

インターナショナルスクールへの進学は、子どもの可能性を広げるという意味でメリットが多いものの、学費が高額なことや、進学の選択肢を狭めるというデメリットもあります。学校教育法に基づく一条校のなかにも、帰国子女生と一緒に国際教育を受けられる学校も増えていますし、英語の学童や英語塾など選択肢はたくさんあります。

 

教育にはついつい無理をしてでもと、お金と労力をかけてしまいがちですが、無理をしない英語教育の方法を考えていきたいですね。

 

 

石川 亜希子

AFP