子どもにキャッシュレスとの上手な付き合い方を伝える2STEP
習い事や通学などで子どもが1人で出掛けるようになると、必然的にお金を使うようになります。そうなる前に一緒に練習しておくと、親も子も安心ですね。実際に我が家で実践した方法をご紹介します。
STEP1:まずは現金で
お金は時代に合わせて形を変えてきていて、今後も現金をデジタル円にするという議論は続くでしょう。とはいえ、それはまだ先の話。現金は、何かトラブルがあったときにも基本として立ち戻ることで、シンプルにお金の流れを把握できます。“現金を扱う力”を身に付けること。ここを疎かにしないことで、キャッシュレスもスムーズに取り入れることができます。我が家では、幼稚園~小学生の間は、おこづかいやお年玉を使う経験として、以下のことを大事に現金に十分慣れさせるようにしています。
キャッシュレスは、使ったら減る感覚を感じにくいのが大人も子どもも課題になるところです。現金でしっかりと、手元のお金が“減り”、どんな感情になるか一緒に話しています。
お金の種類をしっかりと覚える
駄菓子屋さんで1円足りなくて泣くという経験から、1円も立派なお金で1円があるから1万円にもなると言い聞かせました。
おつり計算で算数の勉強
キャッシュレスだと計算もしなくなるので、小学校低学年の教材として必須です。
貯めるより使う練習
貯めることも大事ですが、親の目の届く間に、使ってみて感じた小さな失敗をたくさん経験し、そこからより良い使い方を学ぶ方が大事です。
【おこづかい帳】
現金で増減を記録し振り返る習慣があれば、キャッシュレスになっても定期的に履歴を確認でき、大きなトラブルになる前に気付くことができるでしょう。
以上のように、お金を使うこととはどんなことなのか、現金でシンプルに知ることが大切です。子どもの多感な時期に、子どもサイズのお金でその幸福感や喪失感など、お金にまつわる喜怒哀楽を感じて上手な付き合い方を身に付けておけば、大人になって大きなお金で失敗することを防げると考えています。
嬉しさや悔しさ、そして豊かな気持ちや人への感謝を“目に見える現金”で十分に味わったら、キャッシュレスを併用することに進みます。
STEP2:現金+交通系電子マネーでスキルアップ
親の支払い時にカードを使う体験をしていた子どもでも、自分のカードを持たせてもらうと一気にやる気も自覚もアップするものです。自分のカードを使うと、時にはカードの残高が不足して払えなかったり、カードが見つからず支払い時に慌てたりすることでしょう。そんな経験をたくさん積むことで、見えないお金への責任も芽生え、自分なりのキャッシュレスとの付き合い方を見つけていくのではないでしょうか。
我が家では、塾へ行く交通費と休憩時間のお菓子などに使うため、小学校6年生の時から交通系のICカード利用をスタートさせました。交通系ICカードを使うメリットとして、以下のことがあったからです。
- 記名式なので、自分のカードという実感でがもてる
- “使ったら減る”を実感しやすいチャージ式
- 現金でチャージができる
- 小学生運賃が適用される
- 紛失時は再発行できる
- 親がアプリを使って履歴を簡単にチェックできる
他にプリペイド式の図書カードも使っています。使い切ったら終わりなのは現金と同じです。チャージ式の交通系ICカードを使い始めた当初は「チャージすればまたお金は戻ってくる」という感覚になっていたので、プリペイド式の使い切りを使うことで、見えないお金も使ったらなくなるということを意識できたようでした。子どもにとっては体感がとても大事なんですね。
そして、交通系ICカードでの練習手順は次のようにしました。
①1週間の予算(交通費+軽食代)を決め、それまでのおこづかい額に含め渡す
【一定期間での予算内のやりくりを覚える】
↓
②おこづかいの中から自分でチャージする
【お金であることを意識。おこづかいの練習範囲を拡げられる】
↓
③ICカードで支払ったら、必ず残高を確認する
【お金と同じで使ったら減ることを実感できる】
ここで大切なのが、1週間の予算を使い切ってしまったら、次の週までは追加チャージしないことです。ピッとするだけなので、つい使い過ぎてしまう気持ちをしっかりと抑える習慣のためです。
また、電子マネーのカードの管理には十分に注意しなければいけません。紛失して悪用されてしまう事例も伝え、紛失に気づいたらどう対処するのか親子で確認しておくのがいいですね。
我が子のタイミングに合わせて親子で実践すれば怖くない!
カードの管理や利用に慣れてきて、予算管理もしっかりできるようになってきたらスマホ決済にも挑戦させたいものです。ちなみに、長子が中学校2年生の我が家では、まだスマホ決済は取り入れていません。おこづかい帳をつけることで、現金と交通系電子マネーの両方を使い分け、やりくりできるようになってきてはいますが、まだまだそこは中学生。欲望には勝てず、予算を超えてしまうこともあります。今後は、おこづかい額と電子マネーにチャージする割合を増やしながら、予算を超えてしまった場合にはどう対処していくか、自分で考え行動できるように見守っていくつもりです。
大事なことは、子どもの生活環境の変化に応じて、将来使うであろうツールを、必要以上に警戒せず徐々に取り入れていくことだと思います。子どもを大切に思うあまり、先手で親がトラブルの可能性を回避してしまうことも少なくありませんが、その安全地帯で育った子どもは将来1人でトラブルに遭遇してしまうかもしれません。
そうならないよう、親の目が届く間にたくさん失敗して練習することが大切です。現金で金銭感覚を身に付けながら、並行して、基本的なキャッシュレスの仕組みを理解・実践していけるよう、家庭で教えていくとよいでしょう。
北村 由紀
ファイナンシャルプランナー