「田中様、人生100年時代と言われる今、退職後の資産運用はとても重要です。日本円だけでなく、世界一の経済大国アメリカのドルで資産を持つことで、リスクを分散しながら効率的に資産形成ができるんですよ」

銀行員はある保険のパンフレットを取り出し、グラフを指さしました。「例えば10万ドルを預けると、20年後には約2倍の21万ドル、40年後には4倍の40万ドルになる可能性があるんです。金利が高いので為替リスクも軽減されます」

「こんなに増えるんですか? すごいですね!」

「はい、それに保険なので死亡保障もついています。相続対策にもなりますよ」

さらに銀行は色々と説明を続けてきます。田中さんは、銀行員の言うことなら間違いない。株などの投資は怖いけれど保険なら安心だ。お金が増えて保障もつくなら運用先として万全だと考えました。そして、退職金2,000万円のうち、預金保険の範囲内である1,000万円は特別金利の定期預金に、残りの1,000万円は外貨建て一時払終身保険に投じたのでした。