年々過熱する中学受験。少子化傾向にもかかわらず、受験を考える家庭は増加を続けています。しかし、難関校への進学は、子どもにとって必ずしも良いことばかりではないのかもしれません。2児の母でもある石川亜希子AFPが、中学受験の実態について具体的な事例をもとに解説します。
お願い、父さんには言わないで…世帯年収1,100万円の40代公務員夫婦、難関私立に通う14歳“自慢の息子”の「学校辞めたい」に絶句【AFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

学校行きたくない…息子が泣きついてきた“残酷な原因”

「いじめとかそんなんじゃないよ。お願い、お父さんには言わないでほしいんだけど……今の学校、友だちと話が合わなくて、辞めたい。ねえ、引っ越さなくてもいいから転校だけでもしちゃだめ? 勉強なら別のとこで頑張るからさぁ。もう学校行きたくないよ……」

 

久美子さんがもう少し詳しく話を聞いてみると、最初は口ごもっていた勇輝くんでしたが、これまで誰にも言えなかったのでしょう、途中からせきを切ったように話しだしました。

 

「クラスメイトがお金持ちばかりで話題についていけないし、一緒に遊びにも行けない。みんな悪いやつらじゃないからいじめられたりはない。でも、お金がないから気を遣われて誘ってもらえなかったりする」

 

聞けば、

 

・土曜日の学校帰りにファミレスに行くと、平気で2,000~3,000円するものを注文する

・ゲームには何万円も課金している

・試験休みのたびにディズニーランドに行こうという話になる

・新幹線でユニバーサルスタジオジャパンに行こうという計画もある

・何かしらのキャッシュレス決済の手段を持っていて、親が上限なくチャージしてくれる

 

久美子さんの想像する中学生の遊びとは桁違いのエピソードがどんどん出てきました。

 

勇輝くんには、食費や交通費とは別に月5,000円のお小遣いを渡していましたが、「1回遊んだら終わり」だったそうです。

 

「お小遣い、もう少し上げてもらうようお父さんに言ってみる?」

 

「止めてよ! そんなの怒りだすに決まってる!」

 

たしかに、堅実で努力家の夫は怒り出すでしょう。

 

「そうよね。でも、そんな理由で転校したいっておかしいと思う。お金がないと友だちになれないの? そんなはずないでしょう?」

 

「そうだけど……。お母さんには、オレが毎日学校でどれだけ惨めな気持ちになってるかわからないんだよ!」

 

話はいったんそこで終わりましたが、久美子さんは考え込んでしまいました。お小遣いをもう少し上げることは可能ですが、それで解決する問題とは思えません。夫に話しても、怒り出すさまが目に浮かびます。

 

悩んだ末、金融機関に勤めておりFPの資格も持つ保育園時代のママ友に相談してみることにしました。