一家の大黒柱が亡くなった場合、公的な死亡保障となるのが遺族年金。残された遺族の生活を安定させるためにも必須のものですが、ルールは複雑で、知らず知らずに受給要件から外れている場合も。万が一のときに泣きをみないよう、自身が受給要件に当てはまるかどうか、一度、チェックしておくほうが賢明です。
嘘ですよね!?月収50万円「48歳再婚夫」急逝で、新婚生活わずか1年で終焉。失意の「45歳再婚妻」年金事務所で聞いた「遺族年金額」に唖然のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

再婚した夫、結婚わずか1年で突然死

生命保険文化センター『生活保障に関する調査2022年度』によると、万が一のことがあった際、「公的な死亡保障では不十分」と回答したのは64.6%。25.9%は「公的な死亡保障で賄える」と回答。公的な死亡保障といえば遺族年金ですが、4人に1人はそれで十分と考えています。

 

自身も働いていたり、十分な貯金があったりと、余裕の背景は人それぞれ。しかし、「遺族年金で賄える」と思っていたのに、万が一の際に「遺族年金ゼロ」というショッキングな事態に直面するケースもあるので注意が必要です。

 

山中香織さん(仮名・45歳)。3歳年上の夫とは1年前に結婚。お互いバツイチ同士で、香織さんの連れ子(10歳)と夫婦の3人で暮らしていました。しかし幸せな生活は、山中さんの夫の突然死で幕を下ろします。

 

公的な死亡保障となる遺族年金は、大きく、国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金。

 

遺族基礎年金には子の要件があり、その受取額は「816,000円+子の加算額」。子の加算額は1~2人目の子が各23万4,800円、3人目以降が各7万8,300円です。

 

遺族厚生年金には子の要件はなく、その受取額は亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。当時、山中さんの夫の月収は、大卒・大企業勤務の40代後半サラリーマンの平均値程度の50万円。仮に大学卒業から今まで平均的な給与を手にしてきたと仮定すると、年間71.8万円、月6万円ほど受け取れる計算でした。

 

【年齢別「大卒・大企業勤務サラリーマン」の平均給与】

20~24歳:24.8万円/370.3万円

25~29歳:29.2万円/518.2万円

30~34歳:35.3万円/626.6万円

35~39歳:41.5万円/753.5万円

40~44歳:46.7万円/810.0万円

45~49歳:50.8万円/882.2万円

50~54歳:56.9万円/988.9万円

55~59歳:58.3万円/1009.8万円

60~64歳:48.8万円/801.2万円

※数値左より月収/年収