内科医の橋本将吉氏は著書『「老いても元気な人」と「どんどん衰えていく人」ではなにが違うのか』で血管がいかに老化対策に必要かを説いています。一体どうしてでしょうか? その理由を著書から説明します。
血管をボロボロにする3大地獄を知る
会社などで実施される一般的な健康診断は、過去にかかった病気やケガなどの調査である問診、身体測定、血圧、貧血検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査などが行われます。もちろん、どれも大切な指標ですが、血管の状態を知るには、血圧、血中脂質検査、血糖検査に注目してください。
なぜなら、「高血圧」「高脂質」「高血糖」は、血管をボロボロにする3高、血管にとっては地獄のような環境と言っていいものだからです。血圧とは、心臓が動脈に血液を送り出すときの血管壁に与える血液の圧力のことです。簡単に言えば、どれくらいの勢いで血液を送っているか、という数値です。
血圧が上がると血液が勢いよく血管の内壁にあたるので、かかる負担も大きくなり、血管が傷つきやすくなります。通常の風だと、しなやかに揺れているだけの木の枝が、台風などの強い風が吹くと、折れるなどして見るも無残な姿になるのと同じです。血管が傷つくと硬くなったり内壁が狭くなったりして、さらに血流が悪くなります。
すると、頑張って血液を流すために、さらに血圧が高くなるという「血圧上昇スパイラル」に陥ることがあります。要は血圧が高いと血管の状態が悪い可能性が高いということです。血圧の上とか下といった言葉を聞いたことがあると思います。これは、心臓が収縮したときと拡張したときの数値です。
血液を送り出すために心臓が収縮したときを「上の血圧」や「最高血圧」と呼び、心臓が血液を取り込むために拡張したときを「下の血圧」や「最低血圧」と呼んでいます。診察室で測った場合、上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上だと高血圧と診断されます。
診察室と限定しているのは、診察室だと緊張やストレスで血圧が上がる傾向があるからで、家庭で測った場合は上が135mmHg以上、または下が85mmHg以上だと高血圧とされています。