20歳以上の約2人に1人が高血圧になっている

ここからは、血圧が高いとどうして血管がボロボロになるのか、詳しく話していきたいと思います。そもそも血圧の値はなにを表しているのかといえば、血管の壁に与える血液の圧力のことです。単位はmmHg。mmは単純に長さの単位で、Hgは水銀の元素記号です。「ミリメートルエイチジー」とか、「ミリ水銀」などと呼ばれています。


ここで少々、水銀計にまつわるうんちくです。なぜ水銀かというと、現在は製造や輸入が禁止されていますが、以前は水銀血圧計が使われていた名残です。これは水銀がどれぐらいの高さまで押し上げられるかで血圧を測るものです。100mmHgなら水銀を100mm押し上げる圧力を指します。


なぜ、わざわざ水銀なんかを使っているかというと、水銀は水よりも重いから。正確にいうと、水の13.6倍です。水で血圧を測定すると単純に13.6倍の高さが必要になって、計測器が巨大になってしまうので水銀が使われていたのでした。


勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、血圧というのはものすごい力なのです。なんといっても、低血圧とされている100mmHgでも、水銀を100mm押し上げるわけです。これが水なら136cmの高さまで吹き上げる計算になります。成人の1分間の心拍数は60〜100回といわれています。1分間だけでもそれだけの回数、高い圧力が血管にかかっているわけです。


それだけに血管の負担はものすごいものがあり、傷つきやすくなります。血管が傷つくとどうなるのか。イメージしやすいように簡単に言えば、膝などを擦りむいたときにしばらくすると、かさぶたになって、硬くぶつぶつができるのと同じように、血管が硬く盛り上がってしまう。これが、動脈硬化の要因になるのです。


日本には、上が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHgの高血圧の人が4000万人以上いるとされています。実に20歳以上の約2人に1人が高血圧なんです。つまり、それだけ、年をとってからも元気かどうかを決める重要な要素である血管が、ボロボロになっている可能性が高いというわけです。