65歳から受給開始となる「老齢年金」。受給時期を後ろにずらすことで、受け取れる金額を増やすことができる「繰下げ受給」を検討している人も多いのではないでしょうか? 年金が増額することで、ゆとりのある老後が送れるようになります。しかしながら、想定外の「デメリット」も存在するようで……。今回は、年金の繰下げ受給に関する意外な「落とし穴」について、FPの辻本剛士氏が解説します。
とんだ勘違いをしていました…〈繰下げ受給〉で年金が「月26万円」に増額し、歓喜したのも束の間。“夢の老後ライフ”を謳歌していた72歳男性を襲った「猛烈な後悔」【CFPが解説】
平均寿命と健康寿命には、10年近い乖離がある
内閣府が公表した資料によると、2019年の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳です。それに対し、健康寿命については男性が72.68歳、女性は75.38歳という結果が出ています。
健康寿命と平均寿命の差は男性で8.73年、女性は12.07年となり、この期間は日常生活に何かしらの制限がかかっている状態です。
加えて、この期間は介護などの医療費負担も増加しやすく、経済的な部分も心配になりやすいでしょう。
山中さんの場合は、繰下げ受給を選択したことで年金受給額が増額し、経済的な心配は限定的でしたが、その代わりに親友との大事な時間を失うことになりました。