子どもを頭ごなしに叱っていては、本人は社会に適応する力が身についていきません。目の前の問題を解決しながら、子どもの成長につながる声かけのコツをみていきましょう。英国の心理療法士、フィリッパ・ペリー氏による著書『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』(日経BP 日本経済新聞出版・刊、高山真由美氏・訳)より、詳しく解説します。
ストレス耐性、柔軟性、問題解決力…子どもの“社会適応スキル”を育むために親がやるべき「部屋を片付けて」と叱るよりもっと大切なこと   (※画像はイメージです/PIXTA)

コラボラティブ・メソッド(協力する方法)に必要な5つのステップ

(1)自分の考えを明示することによって、問題を明確にする→「部屋をきちんとしてほしい。私はあなたに部屋を片づけてほしい」

 

(2)行動の背後にある感情を突きとめる。子どもには助けが必要かもしれない→「友達が散らかしたのに、自分1人で部屋を片づけなきゃならないのはフェアじゃないと思ってる?」「片づけようと思っても手も足も出ない感じ? 整理することなんか永久にできそうにないと思ってる?」

 

(3)その感情を受けいれる→「不満に思う気持ちはわかるよ」「大仕事の最初は圧倒されるよね」

 

(4)意見を出しあって解決方法を考える→「それでもやっぱり片づけてほしい。一番簡単な方法は何かな?」

 

(5)決まったことを最後までやりとおす。必要があれば、いくつかのステップをくり返す

 

そして、親が判定を下さないこと。

 

(2)が最も厄介かもしれません。同意したくないことをあえて口にするのは難しいと思う人もいるでしょう。しかし自分にとって不都合な感情だからといってはねつけると、子どものほうも頑として譲らなくなります。

 

子どもは感じていることをすべて正確に言い表せるわけではないので、問題の背後にある感情を探るには、先述の例のように、複数の選択肢を示すといいでしょう。