「米国株一択で間違いなく勝てる」。そんな甘い言葉に魅せられ、65歳で年金生活に入ったばかりの若鮎太郎さん(わかあゆ・たろう、仮名・65歳)は、新NISAを活用して米国株ファンドに大金を投資しました。しかし、思わぬ相場の急落に直面し、パニックに陥ります。果たして、太郎さんの老後資金は守られるのでしょうか? FPの青山創星氏が投資初心者が陥りやすい罠と、賢明な資産運用の秘訣をご紹介します。
年金で細々暮らす65歳・元会社員が新NISAに退職金を突っ込んだ結果…米国株神話を盲信した「にわか投資家」の末路【FPの助言】
「お金が減る」恐怖:日本人特有の心理が引き起こす最悪のシナリオ
日本人は「お金が減る」ことに対して特に敏感だと言われています。長年の預金中心の金融文化が影響しているのかもしれません。太郎さんも例外ではありませんでした。
「せっかく貯めた老後資金が…」と、資産の減少に心を痛めます。しかし、投資では短期的な変動は避けられません。ここで大切なのは、自分の感情をコントロールすることです。
パニックに陥って投げ売りしてしまうと、かえって損失を確定させてしまう可能性があります。冷静に状況を分析し、必要であれば専門家に相談することをおすすめします。
過去の栄光は未来を保証しない
日本の金利は上昇傾向なのに対して、米国では景気減速から金利は低下傾向なので、日米金利差の縮小が見込まれています。将来を予想することはできませんが、もし見込み通りとなれば円高もあり得ます。その場合には米国株への投資は株安と円高の大きなリスクを負うこととなります。株式投資にあたっては、将来予測は不可能であることを前提に、最大リスクへの対応をしておく必要があります。
確かに、S&P500などの米国株ファンドの成績はここ数年間優秀で伸びもすごかったです。リーマンショックやコロナ禍で一時的に下がっても、それを超えて上昇してきました。しかし、それが続くかどうかは誰にもわかりませんし、保証もありません。過去の成績が未来の成績を保証するわけではないことを理解しておくことが重要です。