睡眠不足は心身のあらゆる部分に悪影響を与え、原因も様々です。「睡眠障害」の症状は多岐にわたり、60種類以上あります。日常生活に支障をきたすことも多いのです。その中でも多いケースである「不眠症」と「睡眠時無呼吸症候群」について、睡眠研究の第一人者・柳沢正史氏の書籍『今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集し解説していきます。
眠りたいのに眠れない「不眠症」
4人に1人が眠れず心身の不調に悩んでいる
不眠に悩む成人はおよそ4人に1人。入眠困難や、睡眠維持障害(中途覚醒、早期覚醒など)が心だけでなく身体にも影響を及ぼしています。イライラする、眠いのにぐっすり眠れない、熟眠感がないなどの症状が日中の生活に支障をきたします。
不眠を訴える人の中には、実際は眠れているのにそれを誤認している人もいます。治療は薬物療法だけではなく、認知行動療法も効果的です。認知行動療法とは、症状の要因となっている考え方や行動を改善し、習慣を変えていく心理療法のこと。効果を得るまでにはある程度の期間が必要ですが、治療終了後も効果が長く続きやすいと言われています。
不眠症の種類
不眠症は、睡眠障害の中でも特に広く見られる問題の1つ。どの部分で睡眠が妨げられているのか、理由によって大きく分けることができます。
現在の治療法
不眠症の治療では、薬物療法と認知行動療法が用いられます。認知行動療法の効果は実証されているものの、現在の日本ではほとんど普及しておらず、いわゆる睡眠薬を用いた薬物療法が主になっています。
不眠症チェックシート
「アテネ不眠尺度」は、世界保健機関(WHO)による「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」によって作成された、不眠症の診断や症状の程度を評価するために使用される世界標準の不眠症の判定方法です。不眠症の程度や種類を把握することで、治療計画の立案や治療効果の評価に役立てることができます。