複雑な年金制度ですが、年金が減額される/増額されるという、「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」の認知度は7割超。ただ、細かなところまで知っているかといえば、自信のない人がほとんどでしょう。実は注意書きレベルのルールで涙する人もいるようです。
年金「月5万円」増額のはずが…68歳男性、年金請求で判明した「年金繰下げ無効」に怒りも、年金事務所職員「ルールですから」で撃沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

8割が「老後は年金が頼り」だが…年金制度、どれだけ知っている?

公的年金は老齢年金のほか、障害年金と遺族年金があり、老齢年金は国民年金に由来する「老齢基礎年金」と、厚生年金に由来する「老齢厚生年金」の2種類があります。

 

老後において、公的年金の位置づけは人それぞれ。内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』によると、多かれ少なかれ年金への依存度が高いといえるのが8割。年金に頼らないというのは、わずか1割程度。収入が限られる老後、公的年金に頼らざるを得ないといったところでしょうか。

 

【公的年金の位置づけ】

全面的に公的年金に頼る…26.3%

公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる…53.8%

公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える…11.7%

公的年金には全く頼らない…1.6%

考えたことがない…4.8%

不明…1.7%

 

そんな公的年金。制度が複雑なことでも知られ、年金を受け取るタイミングになってから「知らなかった!」と涙する人も少なくありません。

 

【年金制度の認知度(上位5項目)】

1.学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある…82.0%

2.本人の希望により60歳から75歳の間で受け取り始める時期を選択できる…73.0%

3.現役で働いている世代が、年金を受け取っている高齢者を扶養する制度である…66.8%

4.保険料の納付状況に応じて年金額が変動する…62.5%

5.生涯にわたり年金を受給できる…56.4%

 

これらの制度の中でも注目は2番目の年金受け取りのタイミングについて。老齢年金は基本的に65歳が受け取るタイミング。しかし受取り開始のタイミングは、60~64歳、66~75歳で自由自在。早く受け取るのは「年金の繰上げ受給」といい、1ヵ月遅らせるごとに0.4%、最大24.0%年金は減額。一方で、遅く受け取るのは「年金の繰下げ受給」といい、1ヵ月遅らせるごとに0.7%、最大84.0%年金は増額されます。また繰下げ受給は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、それぞれで選択ができますが(=老齢基礎年金だけ繰下げ受給、老齢厚生年金は通常通り65歳から受給など)、年金の繰上げ受給は、2種セットでなければなりません。