人間なら116歳! SNSで注目されているご長寿猫「みけちゃん」。飼い主である「かあちゃん」との出会いは、驚きのものでした。みけちゃんと家族の「普通で愛おしい」日常を、みけちゃんの飼い主であり、児童文学作家である村上しいこ氏の著書『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より一部抜粋・再編集してお届けします。
「ここ6階やで!?」…気配を感じて振り向くと、自宅ソファでくつろぐ野良猫が!25歳のご長寿猫“みけちゃん”が家猫になった日
みけちゃんが語る、「かあちゃん」こと村上さんとの出会い
あたしとかあちゃんの出会いはものすごく感動的……だったらきっとみんな興味を持つわよね。
でもじつはとってもシンプル。
あたしがかあちゃんを選んだの。
あの頃かあちゃんはアパートに住んでいてね、あたしは駐車場とか自転車置き場の隅にいたのよ。
この場所に来る前はパパとママ、それから小学生の女の子と一緒に暮らしてたんだけど、新しい家を建てて遠くへ引っ越すからって、あたし置いていかれちゃったの。
そりゃあ最初はさみしかったわ。でもいなくなっちゃったんだもん、どうしようもないでしょう。
でも初めての気ままな外暮らしもあちこち探検なんかしちゃって楽しかったわ。
ところがある日、いつものように気ままに歩いてたら友達になれそうな大きな犬が庭先にいたから声をかけたの。
そしたらいきなり腰あたりを噛まれちゃったもんだから探検どころではなくなってね、痛いしおなかも空くしだんだんさみしさが増してきちゃって、誰か助けてと思いたどり着いたのが、かあちゃんが住んでたアパートだったの。
アパートにはたくさんの人が出入りするでしょう。
あたし、どの家の子になろうかいつも観察していて、一番よく目が合ったのがかあちゃんだったわけ。
でもね、「かわいいなあ」って言うだけで家にまで連れていってくれなかったのよ。
だからあたし、自分で行ったの。6階までね。
もちろんエレベーターなんて使わないわ。階段を上ったのよ。
だってエレベーターのボタンは猫仕様じゃなかったんだもん。
手も足も、それから尻尾も届かなかったわ。
毎日かあちゃんを見ていたからどの部屋か知ってたし、少し開いていた玄関から入ってソファで寛いでいたら、気づいたかあちゃんびっくりしてた。
ソファは寛ぐものよ。
何か問題でも?
え、それで傷がどうなったかって? その話はまた次ね。