穴に落ちた仔猫を助けた日の話

あの日の朝、どこからともなく猫の声がしていた。気になっていたけどこのあたりには地域猫がいるし、声が聞こえてもおかしないわな、と思っていた。

ところがその声は方向を変えながら、そして時々聞こえなくなったりしながら夕方にはすぐ近くで聞こえるようになっていた。

あかん、カレー作っとる場合やない。猫や、猫。どっかに猫がおる。探さなあかん。

見つけなあかん。

普段入らないような、私の身長より高い雑草をかきわけ声のする方へ。

おった! おったで、みけちゃん! 猫おった! 見つけたで!

網戸の向こうから不安そうな顔をしてるみけちゃんに声をかけた。

穴に落ちて仰向けになった格好で両手足をバタつかせ鳴いている小さな猫がいた。抱き上げ膝に乗せると、細っこくて長い手足、大きな目、私の両手にすっぽり入る仔猫をエプロンでそっと包んで部屋に入った。

なんてちっちゃいんや。なんてかわいいんや。

どこから来たんやろ。ってか、アメショやん。

出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋
[写真1]今や人見知りの「ピース」 出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋

当時のみけちゃんの心境は?

―あのときはあたしもびっくりしたけど、今から思うとかあちゃんお手柄! 

でも慌ててたわりに、アメショって高そうな猫やんって

そこは冷静だったにゃわ  ―みけ