近い関係だからこそ、難しい親子関係。なかなか折り合いがつかず、必要最低限の話しかしない、さらにはほとんど絶縁状態というケースも。そんな親子関係が「親の死去」で終わりを迎えたとき、どうなるのでしょうか。
49歳ひとり娘「15年疎遠だった78歳父の遺品整理」を業者に丸投げ…書斎から出てきた「ボロボロのノート」その中身に号泣 (※写真はイメージです/PIXTA)

折り合いが悪く、15年もの間、ほとんど顔を合わせなかった父娘

田中久美子さん(49歳・仮名))のもとに、父・和夫さん(78歳・仮名)の訃報が入ったのは3ヵ月前。もともと、折り合いの悪かった父娘。15年前に母が亡くなってからは、ほとんど顔を合わせることがなく、本当に必要なときだけ、メールや電話をする程度だったといいます。

 

PGF生命が行った、『「おとなの親子」の生活調査2023』によると、「親とのコミュニケーションについて、親とどのくらいの頻度で行っているか」の問いに対して、「月1回以上電話をしている」は51.7%、「月1回以上、メールまたはラインをしている」は31.4%でした。一方で「(電話を)しない」は26.8%、「(メールまたはラインを)しない」は58.5%。また親と別居している子どもを対象に、「別居している親に会いに行く頻度」を聞いたところ、「月に1回以上」が全体の43.3%。最多は「1回未満」で46.9%。一方で「しない」は9.9%でした。

 

親子関係は100人いれば100通り。なかには久美子さんのように、ほぼ絶縁状態というケースもあるでしょう。

 

一通り葬儀が終わったあとにしなければならないこと。それは遺品整理。久美子さんはひとり娘で、相続人は久美子さんのみ。煩わしくなりがちな遺産分割に関しては、特にネガティブなことはありませんでした。

 

ただ母が亡くなってから、男ひとりで過ごしてきた実家は散らかり放題。初めは少しずつ自分でやろうと思っていたものの、この調子では何年かかるか分からない……そう思い、業者にすべておまかせすることにしたといいます。

 

総務省『遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書』によると、調査対象68社に対して、遺品の区分と故人宅からの搬入を行っているのは44社、遺品のみの区分を行っているのは21社。また古物商の許可取得済みで買取りまで行っているのは、前者44社中32社、後者21社中19社です。

 

料金形態はさまざまですが、遺品整理サービスの契約金額の平均は約42万円。また原則立会いを不要とする業者は、69社中14社。依頼者が遠方であったり、単純な家財の処分だったりする場合は、立会い不要とすることもあるようです。