愛するわが子のため、少しでも良い教育を受けさせたいと考える親は多いでしょう。その反面、気になるのが教育費。日本政策金融公庫と文部科学省の調査によると、幼稚園から私立かつ大学から一人暮らしの場合、トータルの教育費は約3,000万円かかるそうです。そのため、計画的に準備しなければ「家計破たん」の危機に陥ることも……2人の子の母親でもある石川亜希子AFPが、教育費の実態について具体的な事例を交えて解説します。
42歳夫「ウチの収入じゃ無理だよ…」4歳の娘をバレエと英語教室に通わせる世帯年収700万円の夫婦、“目覚めた”39歳妻のひと言で〈家計破たん〉の危機【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

私立と公立でかかる費用の差…6年間で“とんでもない額”に

文部科学省が公表している「令和3年度子供の学習費調査」による小学校の年間の学習費は次のとおりです。

 

■公立小学校

……約31万4,000円(学校教育費(注1)約6万6,000円+学校外活動費(注2)約24万8,000円)

 

■私立小学校

……約162万1,000円(学校教育費約96万1,000円+学校外活動費約66万円)

(注1) 学校教育費……授業料や学校納付金、修学旅行費、教材費など学校にかかる費用のこと。

(注2) 学校外活動費……塾代や習い事の月謝など、学校以外でかかってくる教育費のこと。

 

月にならすと、公立小学校が約2万6,000円の負担であるので対し、私立小学校だと約13万5,000円の負担となり、6年間で800万円近くもの差になることがわかります。

 

中学受験のために通う塾の費用を考慮しても、小学校から私立に通うほうが高くつく

仮に公立小学校に進学し、中学受験のために塾に通ったとしても、塾にかかる費用は3年間で約300万円。私立の小学校に通うよりはお金がかからないケースのほうが多いでしょう。

 

Aさんの毎月の手取りは37万円ほどなので、毎月の教育費に10万円以上かかると赤字になってしまいます。さらに、キャッシュフロー上、小学校から大学まですべて私立と仮定すると、長女が大学に進学するあたりで貯金がゼロになってしまう計算です。これでは老後資金どころか教育費が用意できない事態になってしまいます。

 

そのようななか、FPから

 

「小学校から私立に進学させたいのであれば、今のままでは厳しいでしょう。とはいえ、生活費を見直す、奥様も働く、新NISAを利用する、奨学金の利用も考える、祖父母から教育費の援助を受けられないか検討するなど、色々な方法は考えられるため、不可能ではないと思います。ただ、教育費が捻出できれば良いということでもないと思うのです」

 

と言われたA夫妻。では、教育費以外にどのような点を考慮する必要があるのでしょうか?