「陰褒め」によって得られる絶大なメリット

「彼女はいつも新しい視点をくれるから、ありがたいわ」というように、相手の良いところを、第三者に向かって言うのです。内心では「新しい視点はくれるけど、だらしないのが困りもの……」と思っていても、後半部分は黙っておきましょう。

日ごろのコミュニケーションに加え、第三者から「リーダーが褒めてたよ」という情報がもたらされると、相手の自己重要感は著(いちじる)しく上がり、こちらを好きになります。

その下地を固めておけば、「君はたま~にルーズなのが、玉に瑕(きず)なんだよね」と指摘しても、相手は傷ついたり拗ねたりせず、改善に向けて努力してくれます。

事実にもとづいた「陰褒め」には、間に入った第三者がこちらを信頼してくれる、というメリットもあります。「陰口」だと、「この人、この調子で自分のことも悪く言っているのかな」と思われてしまいますが、「陰褒め」なら逆です。「人の良い面を見る人だ」「人を受け入れる人だ」と、肯定的な印象を抱いてもらえるでしょう。

断るのが苦手、頼むのも苦手

「急でごめん。これお願いしていい?」と言われ、(ちょっと……いや、かなり迷惑)と思っても、NOと言えない。「難しいお客様なの。あなたならうまくなだめられるでしょ?」と言われ、(怒らせたのはあなたなのに)とモヤモヤしつつ、引き受けてしまう。「○○さんってイイよねー。友達でしょ? 紹介してよ」と言われて、(面倒なことにならないといいけど)と迷いつつ、応じてしまう。

そんなことが頻繁にあるなら、「断れない性分」を改善する必要アリです。なぜ断るのが苦手なのでしょうか。「断ると申し訳ない、かわいそうだ」と思うからでしょう。

しかしそこには、大事な視点が抜けています。頼まれごとを引き受けるということは、それを行っている間のあなたの時間を「奪われる」ということです。その時間に本来やるべきであったこと・やりたかったことが、できなくなるということです。

そう考えると、感情論だけで判断すべき話ではない、とわかりますね。そもそも「かわいそう」とも限りません。相手は、そこそこ負担となる仕事を、軽い調子で頼んできています。報酬(金銭、ほかの仕事の肩代わり、「今度おごるよ!」などなど)にも無頓着なのではないでしょうか。ならば同情する必要はないですし、そうした相手は、また別の誰かに軽い調子で頼むはず。つまり、さほど困らないのです。

一方、人に「頼むこと」を苦手とする人もいます。