繊細な人ほど「目立つこと」に苦手意識を抱きがちです。自分はリーダーとしてプロジェクトの牽引をするような立場には向いていない……と思っている人も多いのではないでしょうか。また、断るのも頼むのも苦手な人も。そこで本記事では、精神科医の西脇俊二氏の著書『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方 』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、事例別に解決策を紹介。第4回目のテーマは「繊細な人が優れたリーダーになるコツ」についてです。
「頼みづらさ」の正体
なぜ頼めないのでしょう。「遠慮してしまうから」でしょうか? それもあるでしょうが、頼みづらさの心理は、もう少し複雑です。
頼むという行為には、実はすごくエネルギーが要ります。 「まずこうして、次にこうして……」と、手順を説明しなくてはならないからです。それには、「課題分析」が的確にできなくてはなりません。そしてそれを相手にわかる言葉で言えなくてはなりません。すると、「面倒だな、自分でやろう」と思ってしまうのです。
逆に言うと、ノウハウが身についていれば、課題分析が素早くでき、頼む力もアップするということです。
課題分析力が上がると、「全部頼むか、一部任せるか」といった中間地点を探ることも上手になります。頼むか頼まないかの二者択一と違い、中間があると柔軟な対応ができます。 相手が負担にならない「適量」を調整したり、複数の相手に、それぞれに合った仕事を配分したり、といった応用も利きます。
あとは、完璧主義を発動させないことだけ注意しましょう。出来上がりへの期待をオフにして「50点主義」でいることも、頼み事をするときの大事な知恵です。
こうして経験を増やし、頼み上手になっていくと、最初にあった「遠慮」という心理的ハードルも下がっていきます。
これは、皆さんがマネージャーの立場に就くときはもちろん、高齢になったときにも効力を発揮します。「荷物が重くて階段を上れない」などのピンチの場面で、「ちょっと手を貸していただけますか?」と、近くを通った人に助けを求められるのです。頼み上手なおじいさん・おばあさんを目指しましょう。