ほとんどの会社員が毎年受ける「健康診断」。また自営業であっても、実施しているクリニックに申し込めば無料で受けることができます。病気の予防と早期発見につながることから、厚生労働省も定期的に健診を受けるよう勧めていますが、東大卒の医師で『老害の壁』(エクスナレッジ)の著者・和田秀樹氏は「70歳を過ぎたら、健康診断は受けるべきではない」といいます。その理由を詳しくみていきましょう。
和田秀樹氏「70歳を過ぎたら、健康診断は受けるべきではない」の真意…健康診断よりも重要な“2種類”の検査
「脳ドッグ」もおすすめだが…
もう1つ、脳ドックも私は勧めています。ただし、脳ドックに関しては誤解があります。ほとんどの脳ドックは、認知症の早期発見をうたっていますが、認知症を早期発見しても、何のメリットもありません。
逆に、認知症と診断されたら、働いている人は会社をやめなくてはならなくなるなど、デメリットのほうが大きいのです。それに、認知症の薬は進行を少し遅らせるぐらいのことしかできず、治すことはできません。
たとえ認知症になったとしても、ゆっくり進行する病気なので、知らぬが仏で今までどおり仕事を続けていたほうが、脳の働きは落ちません。
そんな実態もあるので、私は高齢者のがんは切らない選択もありだと言っています。それに、高齢者はほかの臓器にもがんがある可能性があります。せっかく胃がんを切っても、すぐに他のがんが見つかることは十分ありえるのです。浴風会病院の剖検でも、85歳以上でがんが1つもなかった患者さんはほとんどいませんでした。
それがわかっているのに、医者は「がんを切れば長生きできますよ」といって、手術しようとします。決して、「切ったら今みたいに食べられなくなりますよ」とは言いません。外科医にとっては、切ることが仕事だからです。
和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表