「脳ドッグ」もおすすめだが…

もう1つ、脳ドックも私は勧めています。ただし、脳ドックに関しては誤解があります。ほとんどの脳ドックは、認知症の早期発見をうたっていますが、認知症を早期発見しても、何のメリットもありません。

逆に、認知症と診断されたら、働いている人は会社をやめなくてはならなくなるなど、デメリットのほうが大きいのです。それに、認知症の薬は進行を少し遅らせるぐらいのことしかできず、治すことはできません。

たとえ認知症になったとしても、ゆっくり進行する病気なので、知らぬが仏で今までどおり仕事を続けていたほうが、脳の働きは落ちません。

そんな実態もあるので、私は高齢者のがんは切らない選択もありだと言っています。それに、高齢者はほかの臓器にもがんがある可能性があります。せっかく胃がんを切っても、すぐに他のがんが見つかることは十分ありえるのです。浴風会病院の剖検でも、85歳以上でがんが1つもなかった患者さんはほとんどいませんでした。

それがわかっているのに、医者は「がんを切れば長生きできますよ」といって、手術しようとします。決して、「切ったら今みたいに食べられなくなりますよ」とは言いません。外科医にとっては、切ることが仕事だからです。

和田 秀樹
精神科医
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表