日本経済への不安から、わが子に“生き抜く力”をつけるべく中学受験を選ぶ家庭が増えています。しかし自ら机に向かう子はそう多くはありません。テスト後は「次こそは頑張る」と意気込むのに三日坊主で終わったり、見かねて「勉強しなさい!」と言えば「ママのせいでやる気なくなった」と返されたり…。どうすれば自分から勉強するようになるのでしょうか? 臨床心理士・真田涼氏の著書『中学受験 合格メンタルの作り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
「勉強しなさい!」→「ママのせいでやる気なくした」はお決まりの流れ…子どもが〈自分から勉強するようになる〉魔法のひと言【臨床心理士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「やる気がある時」に学習計画を立てないほうがいい…三日坊主の意外な原因

【悩み①】子どもがやる気になる方法はありますか?

テストが終わった瞬間は「次のテストは絶対頑張る!」と言って、やる気満々で翌日からの学習計画も立てるのですが、三日坊主どころか、翌日になると、「めんどくさい」「やること(学校の宿題など)が沢山あるからムリ」などと言って、ダラダラと過ごし、結局、計画は実行されないということの繰り返しです。どうやったら娘はやる気になるのでしょうか?(小5女子の母)

 

⇒A. やる気になる方法はあります! 計画を立てるタイミングに注意。

娘さんがやる気になる方法はありますよ。

 

「次のテストは絶対頑張る!」と言って、計画を立てている時は、やる気が出始めている時です。今は、そのやる気が出始めている貴重な時間に予定表を立てていて、それで達成感を得て終わりになっています。これは非常にもったいないです。まずは、これを改善していきましょう。

 

「次のテストは絶対頑張る!」と言っている時は、翌日からの計画を立てるのではなく、テストの解き直しなど、何でも良いので、何かしらの勉強に着手しましょう。やる気がある時には、勉強に着手をし、勉強に飽きてきたら、計画を立てるように変えてみてください。

 

また、やる気がある時に計画を立てると、キツキツの計画を立てがちです(お腹が空いている時に買い物すると沢山食材を買ってしまうのと同じです)。キツキツの計画は計画倒れにも繋がりやすいので、計画を立てる時はあまりやる気がない時の方が、余裕がある計画を立てられて、かえって実行しやすいものです。

「勉強しなさい」より「勉強、何時から始める?(=子どもの自己決定権を尊重)」が有効

【悩み②】子どもが自主的に勉強に取り組むようになるには?

塾の宿題や勉強をしていないので、「早く宿題やりなさい」と言うと、「今やろうと思ったのに、ママが勉強やりなさいって言ったからやる気をなくした」と言い、全くやろうとしません。そうかといって、何も言わないでいるとずっとやらないままです。

 

勉強しない→「勉強しなさい」と言う→「ママのせいでやる気なくした」と言って勉強しない…ということがエンドレスで続きます。どうしたら子どもが自主的に勉強に取り組むようになるでしょうか?(小6女子の母)

 

⇒A. お子さんの自己決定権を大事にしましょう!

この時期は、反抗期もあいまって難しいお年頃ですよね。そんなお年頃のお子さんへの対応のコツがあります。

 

心理的リアクタンスといって「勉強しなさい」と言われると「勉強しない」という選択肢を奪われたと脳が認識し、その奪われた選択肢を回復しようとします。それで、「ヤダ! 勉強しない!!」という反応が反射的に出てきてしまいます。

 

1980年にアメリカで「カリギュラ」という映画が公開されました。しかし、あまりにも内容が過激だったために、一部の地域で公開中止になりました。ところが、公開中止になったことで、かえって人々の映画を観たい欲求が高まってしまったのです。それ以来、他者から何かを禁止されると、逆に要求が高まることを心理的リアクタンスの一種として「カリギュラ効果」と呼ぶようになりました。

 

このように、「やりなさい」と言うと「やらない」と反発されてしまうので、何をやるか、どこでやるか、いつやるかなど、やるかやらないかではなく、やる方向での自己決定権をお子さんに与えてあげるようにすると非常に有効です。

 

たとえば、「何時から始める?」というように、本人に時間を決めさせる。また、「どこでやる?」という場所についても、自分の部屋やリビングなど以外にも、家ではダラダラしてしまうのであれば、塾の自習室、図書館、カフェでやるというように、選択肢に家以外の場所を入れてみても良いかと思います。

 

 

真田 涼

RinDa臨床心理士ルーム 代表

臨床心理士・公認心理師、小説家

 

小児科にて発達健診や集団療育、保健所の心理判定員、行政の巡回相談員、幼稚園や保育園等でのストレスチェック、教育委員会委託講座などを行っている。著書に『受験精が来た!』(講談社青い鳥文庫)がある。