定年後、夫婦で毎月約30万円の年金を受け取り充実した老後を送っていた安達夫婦(仮名)。しかし夫の死後、孤独感と予想外に少ない「遺族年金額」に驚いた妻は、SNSにのめり込むようになります……。衝撃の理由で「老後破産危機」に陥った妻に、FPはどのような助言を行ったのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が、事例をもとに解説します。
母さん、やめてくれ!…年金「月30万円」で平穏な老後となるはずが、夫の急死で受け取る〈遺族年金額〉に衝撃。憔悴の66歳女性がとった“起死回生の策”に、40歳息子の悲痛な叫び【FPの助言】
有名な投資詐欺「ポンジ・スキーム」のワナ
美帆さんが騙された投資詐欺は、世界でも有名な「ポンジ・スキーム」という手口です。おもに下記のような方法で、ターゲットから大金を奪います。
<ポンジ・スキームの手法>
1.元本保証で年10%以上の高リターンを約束し、投資案件としてターゲットからお金を募る
2.出資金で運用しているように装う
3.実際には運用せずに集めた資金を着服する
4.信頼させるために出資者に最初の数ヵ月だけ配当金を出す
5.ある程度の出資金が集まった段階で逃亡、または意図的に破綻する
「元本保証」や「高リターン」などを謳い、言葉巧みにターゲットを欺いて出資金を集めます。特筆すべきは、集めた資金の一部をあたかも配当金が出たかのように渡す点です。こうしてターゲットを安心させたうえで、さらに多くの金が奪われます。
こうしたポンジ・スキームの被害に遭わないために、以下のような謳い文句で近づいてくる人物には注意してください。
・「元本保証・ノーリスク」を強調する
・異常に高い利回りを約束する
・損失が出ても補填できると主張する
・「いますぐ始めないと」「残り1名です」などと焦らせてくる
もし、このような勧誘を受けた場合は、まずは冷静になり、その場で決断せずに身近な家族や信頼できる金融機関や専門家に相談するようにしましょう。信憑性を慎重に確認し、決して焦って話に乗ってしまわないことです。
そして、当初1,700万円あった安達夫婦の資産は、夫の死による出費、減らせなかった生活費に加え、投資詐欺に遭ったことで、800万円にまで減ってしまいました。
心配した息子は、美帆さんを連れ、知り合いのファイナンシャルプランナー(FP)のもとへ相談に行くことにしました。