42歳妻・絶句、遺族なのに遺族年金が受け取れないって…

42歳の妻・Aさんと45歳の夫・Bさんはいわゆる「パワーカップル」。世帯年収は軽く2,000万円を超えています。湾岸エリアのタワーマンションに住み、私立の中高一貫校に通う高校生の娘が2人。家族4人で仲睦まじく暮らしています。

営業としてバリバリ稼ぐAさんは昨年初めて年収が1,000万円に届きました。夫(Bさん)の年収に追いつき追い越せで頑張っています。

バイクが趣味の夫。ちょっとした買い物にもバイクに乗って出かけます。誰よりも安全運転を心がけていましたが、先日近くのショッピングセンターに出かけた際の帰り道、飛び出してきた犬を避けようとして転倒、打ち所が悪く帰らぬ人となりました。

病院から連絡を受けたAさんは言葉を失い、顔面蒼白。その日から何も手につきません。しかし、今後の家賃の支払いや、子ども2人の教育費などを考えると泣いてばかりいられません。

まずは遺族年金を請求しようと年金事務所に行きました。そこで、思いがけない事実を知らされます。「残念ですが、Aさんは遺族年金を受給することはできません」Aさんは絶句、「長年一緒に暮らしてきたのになぜ?」と頭が真っ白になりました……。

遺族の生活を支えるセーフティネット

老後の生活保障というイメージが強い公的年金ですが、実はいくつかの機能を持ち合わせています。

公的年金は「老齢・障害・死亡」に備えた社会保険制度であり、歳を取れば老齢年金、障害を負えば障害年金、亡くなれば遺族が遺族年金を受け取る事ができます。

遺族年金は、一家の支え手が亡くなった場合に遺された家族の生活を支える給付です。国民年金または厚生年金保険の被保険者(被保険者であった方)が亡くなったときに生計を維持されていた一定の遺族が受給することができ、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。

亡くなった方の職業によって受給できる年金が決められており、亡くなったのが自営業者の場合には「遺族基礎年金」が、会社員の場合には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が原則として支給されます。

制度により異なる遺族の範囲

遺族年金といっても、遺族であれば誰でも受給できるわけではありません。遺族基礎年金を受給できるのは配偶者か子です。ただし、配偶者が遺族基礎年金を受給するには子がいなければなりません。子には要件があり、18歳になった年度の3月31日までにあるか、20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にあることが必要です。

【遺族基礎年金を受け取れる遺族】

死亡した方に生計を維持されていた次の遺族

  1. 子のある配偶者
  2. 子(生計を同じくする父母がある間は支給停止)

遺族の範囲は遺族厚生年金の方が広く設定されています。遺族基礎年金では対象ではなかった孫や父母、祖父母まで含まれます。

【遺族厚生年金を受け取れる遺族】

死亡した方に生計を維持されていた次の遺族

  1. 子のある妻、または子
  2. 子のない妻  ※夫の死亡時に30歳未満であれば5年間の有期給付
  3. 死亡当時55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から)

※遺族基礎年金の支給対象となっている夫の遺族厚生年金は55歳から支給される

子の要件は遺族基礎年金と同様です(孫も同じ)。