ご両親亡きあと、遺産としてお墓を相続する方もいると思います。しかし、生活圏と物理的に遠すぎる、自分に子どもがなく承継者がいないなどの理由で、お墓の相続はどのように行うのか、また、お墓が不要な場合はどのようにして手放せばいいのか、お墓にまつわる支払いや様々な手続きを見ていきます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
お墓を相続しない・相続放棄することは可能か?
では、お墓を相続したくない場合「お墓を相続しない」あるいは「相続放棄する」ことは可能なのでしょうか?
祭祀継承者となるのを辞退したり断ったりすることはできないのですが、祭祀継承者が相続したあと、お墓を処分することは可能です。そのため、「墓じまい」という形をとれば、いったん相続しても、手放すことができます。
お墓の管理は大変ですし、費用もかかります。お墓が遠方なら、お墓参りだけで金銭的にも身体的にも大きな負担になるでしょう。継続的なお手入れとなればなおさら困難です。放置すれば荒れ放題になりますから、そんな場合はいっそ「墓じまい」をするのも手かもしれません。
墓じまいのあとは「永代供養」というかたちで、お寺や霊園に管理を任せることができます。「永代」という響きから、寺や霊園にずっと管理をしてもらえると勘違いをされる方がいますが、一定期間だけ管理してもらったあとは、お墓を撤去することになります。
具体的には、永代供養は33回忌までと期間が決まっており、期間終了後は、ほかの遺骨と一緒にされてしまうことが多いです。遺骨が一緒にされてしまうと、その後は遺骨を取り出すことができなくなるので、親族や家族の意見を聞きながら進めていくほうが安心です。
お墓の永代供養…費用の目安はどのくらい?
永代供養のお墓には、大きく分けて「単独墓」「集合墓」「合祀墓」の3通りあります。
費用は、所有する面積が大きいほど高額になります。いちばん高額なのが単独墓、その次が集合墓、最も安価なのは合祀墓です。お墓の購入費用と別に支払う「永代供養料」は、どれを選んでもほぼ同じです。大まかな予算として、5万円から200万円くらいまでだと考えておけばよいでしょう。
永代供養の場合、維持費はかからないと考えてよいといえます。最初に一括で永代供養料を払ってしまえば、あとからの請求はありません。
なお、お墓の相続には相続税がかかりません。相続税は、亡くなった人から財産を受けたときにかかる税金ですが、お墓はほかの財産と違い、先祖をまつるための財産のため、税金はかからないものとして決められているのです。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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