30代で大きく上昇し始める、乳がんリスク。備えとして保険への加入を考える人も多いでしょう。しかし、保険選びを誤り後々後悔する人も少なくないようで……。本記事では4年前に乳がんの診断を受けた沢田さん(仮名)の事例とともに、医療保険の落とし穴について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
年収550万円の37歳女性、乳がん罹患で「医療保険」の給付金34万円に安堵も…4年後に転移。にわかに信じがたい「保険会社からのひと言」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

がん転移時に「支払対象外」の衝撃

その後は特になにもなく日常を過ごしていた沢田さんですが、3ヵ月前の定期検査でがんの肺への転移が発覚しました。今回は入院不要で、3週間に1回通院し、抗がん剤治療を受けることに。仕事はこれまでどおり続けられるということでその点はひと安心。がんが消えることを信じ治療を開始しました。

 

費用は1回の治療で約4万円、払えない額ではないですが長く続けばそれなりの出費です。ただ沢田さんは加入していた「がんに手厚い医療保険」があったので、経済的な不安は感じていませんでした。

 

3回目の治療を昨日受けた沢田さん、過去3回分の治療についての請求をしようと保険会社コールセンターに電話をしたのですが、そこで驚きの回答が……「今回の治療はお支払対象外です」。

 

がんの『入院・手術』に手厚い医療保険

沢田さんはすぐには信じられず、理由を尋ねると「沢田様の保障はがんの入院・手術が対象、今回は通院での抗がん剤治療のため対象外になります」という回答が。

 

沢田さんは手元の保障内容に目をやると確かにいわれたとおり。ほかのけが・病気では、入院1日当たり1万円、手術で10万円のところ、がんでは2倍の金額ですが、対象はあくまで入院と手術。がんの『入院・手術』に手厚い保険であるということをこのときに実感しました。

 

想像できなかった長期通院でのがん治療

沢田さんは保険検討の際、仲のよい同期社員が医療保険とがん保険に加入していることを聞きましたが、2つも保険に加入することはもったいないと感じました。そんなときに見つけたインターネット上の広告の『がんに手厚い医療保険』。あらゆるけが・病気の入院・手術が基本保障で、がんのときには金額が2倍で出るという保障内容を確認。「がんになったらふつう入院して手術するでしょ……」と思った沢田さん、この保険がとてもお得でいい保険と感じ契約をしました。

 

ところが実際乳がんに罹患したいま、通院で薬の治療を受けています。しかも主治医からは効果がある限り、続けていくとのこと。

 

自分の保険選択が間違っていたのかどうか気になった沢田さん、インターネットで『がん治療 通院 がんに手厚い医療保険』というキーワード検索で出てきたサイトをいくつかみてみました。

 

するとそのなかには『選んではいけないがんに手厚い医療保険』といったタイトルのコラムがあり、そこには『がんの◯◯に手厚いのか注意』『がんの入院・手術に手厚いものが多いが、がん治療でお金が大きく掛かるのは、抗がん剤治療などで通院が長期化した場合』といった内容が書かれており、まさにいま、沢田さんが直面している状態に対する注意喚起が。

 

沢田さんは保険検討時にお店などで相談することが面倒で、インターネット上の情報で安易に決めてしまったことを悔やんでいます。