年金の請求…本当にベストタイミングか?
年金請求書の提出から1~2ヵ月程度で「年金証書・年金決定通知書」が届き、さらに1~2カ月後に、年金のお支払いのご案内(年金振込通知書・年金支払通知書または年金送金通知書)が届き、年金の受け取りがスタートします。
このように、老齢年金は受給権が発生したら、自身で請求することで給付が始まります。請求しなければ給付はナシ。年金の請求をせず、受給発生から5年が経過すると、5年経過分の年金は時効を迎え、受け取れなくなる場合があります。そのため早めの請求を、と呼びかけられています。
――時効!? それは大変だ、請求せねば
素直に従う64歳の誕生日3ヵ月前のサラリーマン。ただ、素直に従うのが良いとは限らないのが年金制度の難しいところ。厚生労働省の調査によると、60代前半正社員の平均月収は44.1万円、残業代なども含めると、平均46.0万円になります。
――特別支給の老齢厚生年金がもらえる!
このサラリーマンが日本年金機構から届いた「緑の封筒」に促されるまま手続きを行ったとしたら……もしかしたら、後悔するケースもあるかもしれません。
ここで知っておきたいのが「在職老齢年金」。厚生年金保険料を払いながら年金を受け取る場合、つまりサラリーマンをしながら年金をもらう場合、給与+年金=50万円の基準額を超えると、年金支給停止となる可能性があるというもの。その調整額は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」。またここでいう年金は、老齢厚生年金に相当する部分で、老齢基礎年金は支給停止の対象にはなりません。
もしこのサラリーマンが64歳時点で平均的なサラリーマン(正社員)の給与を手にしていたら、年金支給停止の対象になるはずです。また給与収入に年金所得が加わることで、所得税の税率が高くなったり、社会保険料の負担が拡大する場合も。
そんな事実を後で知ってしまうと……
――えっ、素直に従っただけなのに、何かの間違いではないんですか?
と後悔してしまうかも。年金の受給開始のベストタイミングは、現在の収入状況や家族構成などによって微妙に変わるもの。事前のシミュレーションのうえ、自分にとって何がベストかをしっかり考えることが重要です。
[参照]