パートナー選びの基準値は、「37%」

サティスファイサー※1のような恋愛ができるようになるために、秘書問題として知られる、意志決定の問題をやってみましょう。

※1:サティスファイサー:(「満足させる」を意味するsatisfyと「十分である」を意味するsu‑ceの混成語)このタイプは、到達すべき基準値はもっているけれども、ほかにもっといい選択肢があるのではないかと過度に心配することはありません。自分の尺度を理解しており、「十分な」選択肢を見つければそれで満足します。妥協しているわけではなく、ある程度の証拠を集めて、満足のいく選択肢であることさえわかれば、気持ちよく決断をくだせるのです。

あなたは秘書を一人雇おうとしています。秘書といえば女性を思い浮かべるでしょうが家父長制にもの申すためにも、男性の秘書としましょう。候補者は一〇〇人おり、一人ずつ面接をしなくてはなりません。面接を終えるたびに、その人物を採用するか別の人を探すかを決めます。不採用にした人はそこで終わり。あとで心変わりしても、その人を呼び戻すことはできません。

最高の候補者を選ぶには、どうすればチャンスを最大限生かせるのでしょうか? あまりにも早い段階で決断するのは、後方で順番待ちしている強力な候補者を逃す可能性があるので避けたいでしょう。かといって判断を先延ばしにしても、最後の候補者がいまいちな場合もあります。

この問題に対しては、数学的に正しい答えがあります。候補者の37パーセントと面接し、そこでいったん停止して、その最初のグループの中から最高の人物を特定します。その人物が重要な基準値となります。そして残りの面接で、その基準値の人物を超す候補者が現れたらすぐに採用を決めるのです。

この論理は恋愛にも当てはまります。秘書問題では100人の候補者がいることがわかっていますが、恋愛では、パートナー候補がどれくらいいるのかわかりません。わかったとしても全員と出会うことはできません。それぞれに生活があり、物理的、地理的にも制約があるので無理でしょう。そこで、付き合う可能性のある相手の総数ではなく、積極的にパートナー探しをする期間で考えてみましょう。37パーセントルールを時間に当てはめてみるのです。

ブライアン・クリスチャンとトム・グリフィスの『Algorithms to Live By』[訳注:邦訳『アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール』早川書房]では、結婚を望む独身男性についてこのように書かれています。「パートナー探しの期間が18歳から40歳までだとすると、37パーセントルールでは26.1歳が観察から躍動への転換点となる」つまり、26.1歳までに、最初の8.1年の恋愛期間から重要な基準値、つまり、これまで付き合った中で最高の人物を特定するのです。そしてそれ以降、出会う人の中から、その基準値を超える最初の人と結婚すればいいのです。