共通の趣味は重要なのか?

以前、古い友人とドライブ旅行をしているとき、彼女とその夫がどれだけテニスが好きかという話題になりました。二人でテニスの話をしているうちにガソリンスタンドに着きました。彼女は車から降り、ガソリンが満タンになるのを待ちながらスマートフォンを見ていました。そして車内に戻ると、私の目の前にスマホを突きつけて「見て、うちの義理の両親。かわいいでしょ?」と言いました。ディスプレイに映っていたのは、60代の夫婦の、ピンボケした下手な自撮り写真でした。

彼女は車のエンジンをかけながら「正直、夫の両親がこんなに長く結婚しているなんてびっくり。共通点が何一つないっていうのに」と言いました。

「みんな、必要以上に共通の趣味が大事だって思ってる」と私は答えました。「実際に共有しているものを見過ごしている可能性もあるのに」。その頃までに、彼女は私からゴットマンの話をすでに聞かされていました。 

ジョン・ゴットマンは、著名な臨床心理学者のジュリー・ゴットマンと結婚しています。ジョンは人生の多くの時間を実験室で、カップルのかすかな表情を解読して過ごすことを選びました。彼が自分のことを「熱烈なインドア派」と呼ぶのも当然。「ピクニックで死ぬ方法なら1000通りでも思いつける」というのが彼の定番ジョークです。

ジュリーはカップルの役に立ちたいというジョンの情熱に理解を示しています。けれどジュリーにとっての楽しみといえば、大自然の中で過ごすこと。大学では競技スキーをしており、50歳の誕生日には、エベレストのベースキャンプまで登ることを夢見ていました。ピクニックさえ恐れるジョンが、アイスピックを手に、ジュリーとエベレストを登るところを想像してみてください。

もちろん、ジョンとジュリーは結婚前にこのような違いを知っていました。それでも、自分たちの職業柄、夫婦が長期間にわたって幸せな関係を築くのに共通の趣味は必要でないことを理解していました。かれらは三〇年以上、幸せな結婚生活を送っています。

重要なのは、自分の好きなことに時間をかけすぎて恋愛への努力がおろそかにならないかぎり、異なる趣味をもつことは問題ではないということです。もしあなたがワイン好きで、パートナーがワインに興味がなくても大丈夫。ソムリエと結婚する必要はありません。

大事なのは、あなたがワインを味わったり、貴重なカベルネ・ソーヴィニヨンの新作を試しにナパへ旅行に出かけるとき、パートナーがあなたに罪悪感を抱かせようとしたり、「どうして年がら年中ワインを飲まなきゃならないんだ」と非難したりしないことです。よい関係には、お互いが別の趣味を楽しむ余裕があるものです。

【パートナー選びのための大切なヒント】
共通の趣味をもつ人を探す必要はありません。互いに趣味を追求する自由と余裕があれば、異なる活動を楽しんでもいいのです。