誰かと付き合っていると、つい相手の欠点に目が行ってしまい、「もっと良い人がいるのでは?」と、結婚を決断できない……。そんな悩みを抱えている人は少なくないでしょう。本記事では、ハーバード大学とグーグルで行動科学を研究したローガン・ウリー氏の著書『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)より一部を抜粋・再編集し、最高のパートナーを選ぶ方法を解説します。
「もっと良い相手がいるかも」結婚を決められないと思ったら…「26.1歳までに出会った中で最高の人」を特定すると【ハーバード・Googleの行動科学研究者が解説】
短い交際を繰り返す人が「基準値」を考えると
私はこの秘書問題について、ソフトウェアエンジニアのダグに話しました。彼は自分で起こした事業を大手のテック企業に売ったばかりでした。
ダグは三、四ヶ月ほどの短い交際を繰り返していました。女性と付き合うたびに、いつも彼女の欠点に目がつきました。あの子はぼくのジョークに笑ってくれたけど、彼女自身にはおもしろみがなかった。前の子は働き過ぎ。今度の子はなまけもの。
この基準値のアイデアを私が説明すると、ダグは相づちをうちながら口をはさみました。
「なるほど、わかったよ。ぼくは31歳だから、すばらしい妻になる可能性のある人とすでにデートしているというわけだね」
その通り! 私はダグに宿題を出しました。
「昨年付き合った女性全員の情報をスプレッドシートにまとめてみて。彼女の名前、出会い方、彼女といっしょにいるときのあなたの気持ち、共有する価値観をそれぞれ入力するの。他の情報を入れてもいいけど、彼女らの欠点の長いリストや、セクシー度ランキングはいらないから」
「了解。やってみるよ」
次のセッションで、ダグは自分のラップトップパソコンを取り出し、宿題の成果を見せてくれました。「ブリーレ」とページを読み込みながら言いました。「彼女がその人だ」
「その人って? 運命の人のこと?」と私は尋ねました。
「結婚相手じゃなくて、基準値となる人ってこと。彼女はかしこくて、おもしろくて、いっしょにいて楽しい、向上心のある美人だった。ああ、なんで別れちゃったんだろう? まあ、もうどうしようもない。とにかくブリーレがぼくの基準値だ。次にブリーレと同等か、それ以上に好きになれる人に出会ったら、彼女と真剣に付き合うよ」
さあ、次はあなたの番です。適齢期を決めるために、デートを始めた年齢から、結婚したい年齢までの年数を数えてください。その数字の37パーセントはいくつですか? その数字を、デートを始めた年齢に加えてください。それがあなたの37パーセント地点です。もしあなたがいま30代なら、すでにその地点を越えているでしょう。あとはダグに出した宿題をやってみて、あなたの基準値となる人物を割り出しましょう。
心配はいりません。なにも、次に付き合う人と結婚すべきと言っているわけでも、37パーセント地点を越えている人はもう手遅れだとほのめかしているわけでもありません。あなたはすでに、合理的で情報に基づいた基準値を設定するための十分なデータをもっている可能性が高い、と言いたいだけなのです。
もうリサーチは必要ありません。次に基準値と同等か、それ以上の人と出会ったら、その人と真剣交際を始めてみてください。