毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」。しかしまったく見ていないというケースも多いでしょう。年金保険料の徴収や、年金支給に関しては、人為的なミスも発生しているので、日本年金機構からのお便りはきちんと目を通すのが鉄則です。きちんと「ねんきん定期便」をみていれば、「将来の年金額を増やすヒント」も見つけられるはず。しかし、魅力的な謳い文句に、何も分からずのると後悔の原因に。みていきましょう。
 「年⾦受給を遅らせたら年⾦額が増額します」「いいね!」…65歳で〈年金月17万円〉のサラリーマン「ねんきん定期便」の謳い文句に安易にのって大後悔

「ねんきん定期便」をしっかり確認したほうがいい理由

毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」。これまでの保険料の納付状況と、将来の年金額/年金見込額が記されているから、将来の生活設計に役立つものです。

 

【「ねんきん定期便」の記載内容】

◆50歳未満(35歳、45歳以外)

これまでの加入実績に応じた「年金額」が分かる

(ほか記載内容)

保険料納付額/月別状況(直近13月)/年金加入期間

※35歳、45歳は封書で届き、これまでの年金加入履歴と全期間の月別状況が記されている

◆50歳以上(59歳以外)】

・60歳まで現在の加入状況が継続した場合に65歳から受け取れる「老齢年金の見込額」が分かる

(ほか記載内容)

保険料納付額/月別状況(直近13月)/年金加入期間/老齢年金の種類と見込額

※59歳は封書で届き、これまでの年金加入履歴と全期間の月別状況が記されている

 

ただ毎年のルーティンとして、さっと見て、そのままどこかへ、というパターンが多いのではないでしょうか。しかし年金の支給ミスが少なからず発生していることを考えると、日本年金機構からのお便り、しっかりと目を通し、保存しておくほうがいいでしょう。

 

日本年金機構『事務処理誤り等について』によると、令和6年4月の事務処理誤りは全98件。そのうち47件は「支給額に影響なし」というミスですが、ほかは多かれ少なかれ影響あり。6件は「100万円以上500万円未満」と、大きな影響のあるものでした。公表されている誤りのなかで、金額に影響あるものを一部抜粋してみていきましょう。

 

【事務処理等誤り…厚生年金徴収関係】

・賞与支払届の誤り/広島/影響:過徴収…62万4,168円

・厚生年金適用関係書類の管理誤り/東京/過徴収…12万1,290円

 

【事務処理等誤り…国民年金適用関係】

・国民年金任意加入申込書の誤り/大阪/過徴収…11万7,040円

・国民年金被保険者住民変更届の誤り/東京/未徴収…38万1,310円

 

【事務処理等誤り…年金給付関係】

・老齢年金の受給要件等の誤り/栃木/未払い…21万8,250円

・老齢年金の共済組合期間の誤り/京都/未払い…48万5,603円

・老齢年金の国民年金や厚生年金期間の誤り/北海道/未払い…461万6,588円

・老齢年金の国民年金や厚生年金期間の誤り/大阪/未払い…22万6,705円

・老齢年金の繰上げの誤り/神奈川/過払い…16万7,863円

・老齢年金の繰下げの誤り/本部/過払い…78万6,466円

再裁定の誤り/福岡/未払い…400万8,645円

 

もし過払いだったら。年金が振込みとなる通帳に、いつもよりも多めの年金。少ない分には気になるかもしれませんが、多い分には気にならず、使ってしまうかもしれません。

 

過払いが指摘されたとき、その分、返還を求められます。「使っちゃって、ないです」は通用しません。「おかしいじゃないですか、そちらのミスで」と反論したら、きっと平謝りされるでしょうが、それでも「法律で決まっているので……」と返還を要求されます。

 

年金の手続きは人が介在するもの。どうしてもミスはゼロにはなりません。そんなミスにより不都合が生じないよう、「ねんきん定期便」についても、もう少ししっかりチェックしておきたいものです。