公的年金の制度はとても複雑で、安易な判断をすると思わぬ損をしてしまうことも。例えば、年金繰り上げのデメリットは「繰り上げた分だけ受け取り額が減ること」だけだと思っていませんか? 実はそれ以外に思いもよらぬデメリットがあるのです。今回はそんな複雑な年金制度の中で失敗してしまった事例を小川洋平FPがご紹介します。
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安易な判断で後悔しないよう情報収集を
今回は、安易に年金を繰り上げて受け取る選択をしたがために寡婦年金を受け取れなかった事例をご紹介しました。
厚生労働省の令和3年度「厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、繰り上げ受給を選択した人は、国民年金(基礎年金のみの人)では27.0%、厚生年金では0.6%となっており、基礎年金のみ早期に受け取っているという人も多くいることがわかります。
しかし、今回のように早期に年金を受け取ることで、万が一の場合の保障が受け取れないこともあり、注意が必要です。
今回は寡婦年金の事例でしたが、60歳~65歳までの間に所定の障害状態になってしまった場合にも、既に基礎年金を受け取っている場合には障害年金を受け取ることが出来ない場合もあります。
年金制度はとても複雑ですので、安易に今回のような判断をする前に、どのような注意点があるのかなど事前に情報収集をし、ベストな方法を判断したいところです。
また、個人事業主の方でも法人を設立して厚生年金に加入できる方法を使えば、遺族厚生年金を受け取ることができるようになります。社会保険料を軽減しながら社会保障を手厚くする方法などもありますので、個人事業主やフリーランスの方は検討されてみても良いでしょう。
まずは自分に与えられた選択肢を知り、その中でどれが自分や家族にとって良い選択になるのか、事前に専門家などから情報を集め、活用していきましょう。
小川 洋平
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