中国工業情報化部傘下の研究機関が4月1日、「中国低空経済発展研究報告(2024年)」を発表しました。推計では、2023年中国の低空経済の規模が5,059 億 5,000 万元(約10兆6,250億円、1元=約21円)に達する見込み※といいます。低空経済とは、高度1,000メートル以下の空を活用する新技術で、ドローンによる配送、空中タクシー、ドローンによるインフラ検査などを指します。中国政府の報告書で今後の重点産業として名指しされるなど、中国で注目を集めている産業分野です。ジャーナリストの高口康太氏が低空経済の今を解説します。
日本でも取り組みが期待される低空経済
低空経済の発展には安全な機体を開発する技術、サポートする法整備が必要ですが、他にも離発着場の整備や操縦士の訓練学校、免許認可の制度などのインフラ整備も必要です。
また、飛行情報や気象情報をリアルタイムに共有する仕組みも必要となります。中国は太陽光パネルや風力発電、EVなどの新時代の技術をいち早く社会実装させることにより、必要なノウハウを身につけ、世界に輸出できる体力を身につけようとしています。
確実に巨大産業となる低空経済、日本もスピードアップした取り組みが必要となりそうです。
[プロフィール]
高口 康太
ジャーナリスト、千葉大学客員准教授。2008年北京五輪直前の「沸騰中国経済」にあてられ、中国経済にのめりこみ、企業、社会、在日中国人社会を中心に取材、執筆を仕事に。クローズアップ現代」「日曜討論」などテレビ出演多数。主な著書に『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、梶谷懐氏との共著)、『プロトタイプシティ 深圳と世界的イノベーション』(KADOKAWA、高須正和氏との共編)で大平正芳記念賞特別賞を受賞。