白内障、レーシック、ICLなど、目の手術をすることは昔に比べて一般的になってきています。しかし眼球は非常に繊細な臓器であり、その眼球を数十分~数時間で手術するのはリスクが高いことだと語るのは、眼科医の窪田良氏です。本記事では、窪田氏の著書『近視は病気です』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集し、「目の手術」についての見解をご紹介します。
「風邪に抗生物質」は世界では異端
ちなみに臨床医時代には、薬もなるべく出さないようにしていました。病院やクリニックの経営的視点から見れば、手術件数が多いほうが儲かりますし、薬をたくさん処方したほうが儲かります。製薬会社からの評価も上がるし、いいことづくめです。
患者さんから「せっかく病院に来たのだから目薬をください」「ほかの先生はたくさん目薬をくれるのに……」と言われることもありましたが、私は「いらないものはいらない」を押し通しました。
投与しなければ命が危ない人、状態が悪い人にはもちろん薬を使うべきでしょう。しかし、そもそも人間には免疫力や自然治癒力があることをもっと認識するべきだというのが私の考えです。ちなみに薬の中には、単なるプラセボ効果を狙っているものもあります。
最近はさすがに日本でも減ってきたとは思いますが、かつては風邪をひくと、抗生物質を当たり前のように処方していました。欧米では、本来であればいらない薬を出すことは、かなりネガティブなことだと受け止められます。
体に入れる薬剤のような化学物質は、問題にもなったサプリメントを含め、特に長期投与した場合、肝臓や腎臓に負担をかけます。ですから、体の中に何かを入れるのは、よほど慎重になったほうがいいという共通認識があるのです。
窪田 良
医師・医学博士