昨今、高齢者の住まいとして有効な選択肢になりつつある「老人ホーム」。入居の理由はさまざまですが、一度入居すれば安心……というわけではありません。ときに退去を意識するような出来事も。看取り可の「サ高住」に入居した男性のケースをみていきます。
最期まで、ここで暮らせると思っていた…年金月18万円・78歳のおひとり様、「看取り可のサ高住」に入居も「まさかの大誤算」

高齢者「いまの家に住み続けるのは…」「いまの暮らしを続けていくのは」…不安

株式会社LIFULL seniorが60歳以上の男女に対して行った『高齢期の住み替え調査』によると、新しい住居への住み替えについて「住み替えたくない」が56.0%。「病気や倒壊後状態になってから考えたい」が20.9%、「元気なうちに住み替えたい」18.7%、「1年以内/3年以内に住み替えたい」が合わせて4.3%でした。

 

さらに「現在の住まいに住み続けるうえでの不安」を尋ねたところ、「階段の上ることが面倒だ」が33.4%と最多。「家や庭の管理・清掃が行き届かない」「家賃、住宅ローン、修繕費などの支払いが不安」「買い物や通院に不便」と続きます。

 

また暮らしそのものへの不安としては、「車が手放せない」がトップで46.3%。「食事作りが面倒だ」「洗濯や掃除などの家事が面倒だ」「自分に異変が起きても誰にも気づかれない」と続きます。

 

住まいに対する高齢者の不安。では住み替えるとしたら……重視したいこととして多かったのが「介護サービスを受けられる」で29.2%。「何かあれば助けを呼べる」25.3%、「最期まで自宅で過ごせる」22.5%と続きます。

 

また住居形態としては「サービス付き高齢者向け住宅」が27.6%とトップ。「シニア向け分譲マンション」「戸建て」「有料老人ホーム」と続きます。

 

将来の住まいの形、暮らし方に不安を覚えている人たちに支持されているサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、基本的に要介護度が高くない高齢者を対象としたバリアフリー住宅。有料老人ホームにはない、自由度の高さが魅力のひとつです。サービスの幅は広く、「①介護サービスが付いておらず、仮に介護が必要になったら住み替えが必要になるタイプ」「②在宅介護を併設したタイプ」、さらには「③介護付き有料老人ホーム同様の介護サービスが受けられるタイプ」まで、サービスの幅は広く、②や③は、介護職員が24時間常駐。認知症に対応した施設もあります。