相続放棄と遺族年金の関係は?

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が受給することができます。

ただし、遺族であれば誰でも遺族年金を受給できるわけではありません。受給できるのは、死亡した方によって生計を維持されていた遺族で最も優先順位の高い方となります。

Aさんの子どもは成人しているので年金法上の「子」とはなりません。よって、Aさんは「子がいない配偶者」に該当し、受給できる遺族年金は遺族厚生年金のみとなります。なお、Aさんは65歳になっているので、「自分の老齢基礎年金+夫の遺族厚生年金」を受給する形です。

さて、相続放棄すると遺族年金の受給権はどうなるのでしょうか?

遺族年金についての考え方も未支給年金と変わりません。遺族年金は遺族がその固有の権利に基づいて請求するものなので、亡くなった方の相続財産には含まれません。よって、相続放棄した遺族でも遺族年金を請求できます。

未支給年金と遺族年金は相続財産にはあたらないので、相続放棄したとしても受給できることを知りAさんは少しホッとしました。また国民健康保険からの葬祭費や、保険会社からの死亡保険金も受け取れるようです。

ただし、相続放棄するのであれば3か月以内に手続きを行わなければなりません。まずは正確な相続財産と借金を確定させるべく、Aさんは弁護士事務所に相談に行ったのでした。

角村 俊一
角村FP社労士事務所代表・CFP