契約更新のお知らせをきっかけに、がん保険の見直しを考える人は少なくないでしょう。しかしがん保険には、一般的な生命保険契約とは異なる「特有のルール」があることをご存じでしょうか? 見直し前に正しく理解していなければ、後々公開することも……。本記事では鼻腔がんに罹患した池田由紀さん(仮名)の事例とともに、がん保険加入の注意点について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
やたら左の鼻だけつまる、花粉症かな…年収600万円の42歳会社員、小さな予兆からまさかの「副鼻腔がん」診断。“2ヵ月前”に加入も「がん保険無効」で呆然【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

想定外の診断も、がん保険無効の悲劇

近所のショップでがん保険に加入してから2ヵ月、仕事で忙しい日々を送り、がん保険のことなどすっかり忘れていた池田さん。

 

ただどうもここ最近、左の鼻だけつまっているというか、なにか違和感があり、鼻をかんだときに時折出血が確認されることがありました。今年もつい先日まで花粉症で悩まされていたため、その影響で炎症を起こしているのかと思っていた池田さんですが、仕事へ影響が出るのがイヤで耳鼻科を受診。

 

ところが耳鼻科では医師から「手術が必要かもしれません」という見立てで大きな病院で精密検査を受けることを勧められました。花粉症と思っていたら、まさかこんな大事になるとは……と驚きつつも「早めに受診してよかった」と、池田さんはいわれたとおり別の病院で精密検査を受診することになりました。

 

花粉症かと思いきや…まさかの副鼻腔がん発覚

精密検査から10日後、池田さんは検査結果を聞きに病院へ。手術が必要となったら「仕事も休まなければならないし入院費もかかるしイヤだな」と思っていたものの、そこまで深刻な病気の可能性は感じていなかった池田さん。

 

ところが検査結果を伝える医師の口から出たのはまさかの『悪性腫瘍』という言葉。わかりやすくいうと『副鼻腔がん』ということでした。

 

「まさか……私ががん?」「しかも鼻……?」事態がよく呑み込めず、頭が真っ白になった池田さん。医師からは最初に抗がん剤治療を行い、その後に手術という治療方法を勧められ、いわれるままに入院の予定を入れ帰宅しました。

 

「治るの……? 仕事は……? お金は……?」さまざまな不安が頭をよぎります。ただがん保険は最新のお勧めのものに入ったばかり、その点だけは唯一の救いと思っていました。

 

がん保険請求して思い出した「90日不担保」

がんの告知から数日後、池田さんはようやく現実を受け止められるようになりました。会社の上司にも相談したところ、「仕事については心配しなくていい」と伝えられ、まずはこれから受ける治療に集中することに。

 

お金もかかるのでがん保険の請求も早めにしておこうと保険会社コールセンターへ電話。すると池田さんのがんの診断日がいつか尋ねられました。「日付が関係あるのですか?」と尋ねたところ、池田さんのがん保険は加入から間もないため6月25日以前のがん診断の場合、契約が無効となる旨の案内が。

 

この日は27日、ただ医師からがんを告げられたのは一週間前の20日、池田さんは再び頭が真っ白に……。電話を終えしばらく放心状態に、そしてしばらくしたとき、がん保険相談に行ったショップでのやりとりを思い出しました。そして、「花粉症でがんがみつかるなんて……」呆然とします。