不慮の事故によるケガや病気などによって障害状態になったときに支給される「障害年金」。実はこの制度、自分が申請しない限り受給することができません。本記事では、病気で足が不自由な生活を14年間続けていたものの、障害年金を受給できることを知らなかった55歳男性の話を例に、〈もしも〉のときに活用できる障害年金について南真理FPが解説します。
病気で足が不自由になった50歳愛妻家の会社員、受け取れたはずの「500万円」を貰い損ねた事実に愕然…「年金の時効」という落とし穴【FPが解説】
障害年金は現役世代も対象だが、自分が申請しないともらえない
障害年金は、ケガや病気によって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代も受け取れる公的年金の一つです。障害年金の対象は、手足の障害などの外部障害だけでなく、がんや糖尿病・心疾患・呼吸器疾患などの内部障害、統合失調症やうつ病などの精神障害も対象となります。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。また、障害年金受給のポイントとなるのが「初診日」です。
初診日とは、障害の原因となったケガや病気について、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。初診日に国民年金に加入していた方や生まれつきの障害がある方、20歳前だった方は「障害基礎年金」の対象となります。
一方、初診日に会社員や公務員などで厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」の対象となります。障害厚生年金のほうが障害基礎年金よりも保障が手厚くなっています。
障害年金の受給には、年金納付要件を満たしていること、初診日から1年6ヵ月を過ぎた日に定められた障害の程度(等級)に該当することが必要です。受給要件の詳細を理解し、要件を満たしているかどうかを自分自身で判断することは難しいでしょう。
とはいえ、障害年金という制度があることを知らなければ、請求手続きをすることもできません。まずは制度自体を知っていることが重要なのです。