日本人の2人に1人が経験するといわれる「がん」。もし自分や家族が「がん」だと診断された場合、どのような点を確認すればよいのでしょうか。日本の抗がん剤治療のパイオニアであり『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)著者の勝俣範之氏が、がんと診断されたときに医師に確認すべきポイントについてわかりやすく解説します。
鵜呑みはNG…医師に「がんです」と言われたらまず確認したい「3つ」のこと【専門医が解説】
手術、抗がん剤、緩和ケア…「治療法」も細かく確認を
確認ポイント3.治療の「選択肢」
O:そのほかにも確認しておくことはありますか?
勝俣:できれば治療法も確認していただければと思います。がんの治療には「3大治療」と呼ばれる、手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤治療)があります。それに加えて、最近では緩和ケアも重視されるようになってきました。
このようにがんの治療法はいくつかに分かれていますし、それらを組み合わせて治療を行うのが現在の主流です。
医師がどんな治療法を勧めるのか、その理由は何なのか、その治療法を選択したときの自分にとってのメリットやデメリットは何なのかなど、治療の選択肢についてはできるだけ細かく確認してください。
O:なるほど! わかりました。そのほかに、確定診断を聞くときにこれはしておいたほうがいいということはありますか?
勝俣:できることならご自身のがんの診断の根拠となった血液検査などの結果、がんの状態を記した病理検査レポート、画像診断レポートなどはもらっておくことをお勧めします。
日本の病院では提供してくれないところもありますが、少なくとも聞いてみて、もらえるようならもらっておいてください。患者さんのほうから言わないと提供されませんから、遠慮なく聞いてみましょう。
確定診断で確認すること、もらっておきたいもの
<必ず聞く>
□何のがん?
□それは確定診断か? どの検査で確定した?
□大きさと広がりは?
□進行度、病期はどのぐらい?
□どんな治療の選択肢があるのか?
<できればもらう>
■病状説明書
検査の結果の病状と、今後の治療方針を記載した書類。患者が説明を受け、内容について納得すれば、医師とともに署名。がんの種類、臓器、深達度、大きさ、転移などの広がりも記入されている。
■病理検査レポート
生検の組織診断による所見。専門家でないと理解できない内容だが、セカンドオピニオンにも役立つ。
■画像診断レポート(CT 、MRI 、PET 、エコー、内視鏡など)
がんの大きさや広がりが記載されている。患者自身のがんへの理解も深まる。
■血液検査報告書
今後の治療のバロメーターにもなる。
勝俣 範之
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
教授/部長/外来化学療法室室長