サニールージュ、サマークリスタル、金星、ゆうぞら……。一体なんの名前なのでしょうか? 実はこれらはすべて果物の品種の名前。スーパーの果物コーナーに行くと、ひと昔前の状況とは大きく変わり、聞いたことのない名称のりんごや柑橘類などを見かけることが多くなっているのではないでしょうか? わくわくするような品種の話だけを聞くと、世界や日本における果実栽培は明るく楽しいイメージだけになりそうですが、実はそうではありません。食糧難や温暖化、人口バランスなどが問題視される状況において、抱えている問題は決して少なくはないのです。おいしい果物の持続的な生産のためには、どのようなことが求められているのでしょうか? そこで今回は、「フルーツにおけるフードテック最新事情」として、果物の新しい品種改良の事例をわかりやすくご紹介。合わせて現代の果樹業を取り巻く深刻な社会問題にも触れながら、それらを解決していくための技術革新について、実際の事例を交えながらご案内していきたいと思います。
赤いキウイに桃の香りのイチゴ!? フルーツの持続的な生産を支えるフードテックとは?

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

20年以上の歳月をかけて生まれた “ルビー色”のキウイフルーツ

ゼスプリ インターナショナル ジャパンが期間限定で発売している「ゼスプリ・ルビーレッド」。黄色いキウイは、ビタミンCを豊富に含む「ゼスプリ・サンゴールドキウイ」。(著者撮影)
ゼスプリ インターナショナル ジャパンが期間限定で発売している「ゼスプリ・ルビーレッド」。黄色いキウイは、ビタミンCを豊富に含む「ゼスプリ・サンゴールドキウイ」。(著者撮影)

 

まずは海外産果物の話からはじめていきましょう。ニュージーランドの名産品であるキウイフルーツ、ひと昔前はグリーンが定番でしたが、最近では黄色や赤色が登場しているのをご存じでしょうか? 最も新しい品種として「ゼスプリ・ルビーレッド」という赤い果肉のキウイが2020年から日本での販売が始まっています。

 

この赤い果肉は、ビジュアル面だけの美しさだけではありません。生活者の嗜好に合わせ、20年以上の歳月をかけて生まれた希少種。風味はベリーのような上品な甘さが特長で、栄養面では女性に嬉しいアントシアニンやビタミンCが豊富に含まれています。

 

ゼスプリでは国の研究機関と一緒に研究を進めることで、品種改良だけにとどまらない生産技術の開発や果樹園の管理、市場拡大などを進めています。

 

また技術の側面においては、キウイを病気や害虫から守るため、土や葉を採集してデータを集め、翌年度の対策を実施。一部の果樹園にはウェザーステーション(気象観測器)を設置して風・気候・湿度などをモニタリングし、潅水自動システムにより作業を効率化しています。

 

キウイフルーツはニュージーランドの果物・野菜の輸出の55%を占めています。(2022年7月1日~2023年6月30日)、多くの人々が携わる農産業に成長。世界50カ国以上に広く提供されるシステムが確立されています。それでは次に日本の事例を見ていくことにしましょう。