AI技術を活用したスマート農業システム「ゼロアグリ」
生産者の労働省力化だけでなく、作物にストレスのない潅水施肥によって作物の収量、品質向上を実現するAI技術を活用したスマート農業システムとして2013年に登場したのが、「ゼロアグリ」。
“持続可能で稼げる「日本発デジタルファーミング」”をコンセプトに掲げるルートレック・ネットワークスという企業が提供しているサービスで、イチゴ、ブドウ、ナシ、メロンなどの果物はもちろんのこと、トマトやキュウリなどの野菜においても広く導入されています。
ゼロアグリは、農作業の潅水と施肥をIoTとAI技術により自動化し、「高収量・高品質・省力化」を実現したスマート農業システム。作物やその土地に合った理想的な土壌環境を維持するための潅水や施肥などの作業が、スマホやPCから遠隔操作で可能になるという画期的な仕組みです。たとえば、作物が1日に要求する潅水量≒蒸散量を計算し少量多頻度で潅水することで、人の手では難しい高い精度の水やりを実現することができます。
また、ゼロアグリの活用により農業生産における省力化や品質安定が実現するだけではなく、環境にも優しい栽培が可能に。青森県の夏秋トマト栽培における実証実験※1において、化学肥料の低減によりゼロアグリを使わない慣行栽培と比較して約48%の温暖化効果ガス排出量を削減に成功しています。
さあ、いかがでしたか? 世界における果物の未来を確かな技術革新に期待すること、そしてこれらの取り組みに私たちひとりひとりが関心を寄せ、考え実行していくことに大きな意義と可能性が生まれるのではないでしょうか。
<著者>
スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。