離婚、再婚、子がいない…複雑さ増す「遺族年金ルール」
なんとも複雑怪奇な遺族年金。さらに「遺族年金、もらえると思ったのに……」と年金事務所に相談しにいったところ、1円も遺族年金がもらえないことが判明、そんなことも。
年収45万円だったという、42歳のサラリーマン夫を亡くしたという女性。あまりにも突然の不幸で何もやる気が起きなかったといいますが、夫の死去により、さまざまな手続きが山積み。
――少しずつでもやらないと
そのひとつが遺族年金の手続きでした。ふたりには子がいなかったので、請求できるのは遺族厚生年金だけ。遺族厚生年金の支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。また報酬比例部分の計算では、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月未満の場合は、300ヵ月とみなします。女性の場合、ざっと計算したところ、年間62万円ほどの遺族厚生年金がもらえる見込みだったといいます。
しかし年金事務所に相談しにいったところ、「あなたの場合、遺族年金は支給停止となります」と思ってもみないことを告げられたといいます。
――えっ、何かの間違いでは? 私、悪いことでもしていました?
実は、亡くなった夫は再婚。先妻には小学生の子がいて一緒に暮らしています。そして亡くなった夫は、毎月養育費を払っていました。
このような場合、先妻との子と後妻は生計を維持していないので、先妻との子に遺族基礎年金と遺族厚生年金、後妻には遺族厚生年金の受給権が発生。子に遺族基礎年金の受給権があると、後妻の遺族厚生年金の受給権は停止となり、子に遺族厚生年金が払われることになります。また子の遺族基礎年金は、生計を同じくする実母(夫からすると先妻)がいるため支給停止となり、受け取ることができません。なお、子が高校を卒業するころ、遺族厚生年金の受給権はなくなり、後妻の遺族厚生年金の支給停止は解かれます(図表)。
複雑な遺族年金のルール。離婚・再婚が絡んでくるとさらに複雑になります。実際に遺族年金が支給されるかどうか、年金事務所や相談会などで確認するのがおすすめです。
[参考資料]