金持ちは大変だね……他人事と思っていた「相続トラブル」。しかし、裁判沙汰にまで発展するのは「遺産総額1,000万円以下」が最も多く、実は一般人のほうが相続トラブルに巻き込まれやすいというのが実情です。残された3人の子のもと起きたトラブルについてみていきましょう。
「父さんの遺産、すべて俺にくれ!」土下座で必死にお願いした〈40代の長男〉…ふせられた真実に〈2人の妹〉が大激怒

家庭裁判所にもちこまれる「相続争い」…その1/3は「遺産総額1,000万円以下」

遺言書がない遺産分割では、相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の合意が必要になります。

 

遺産分割において基準になるのが「法定相続分」。民法が定める相続分で、「①子と配偶者が相続人」なら、相続分はそれぞれ1/2。子が複数人いるときは、1/2をさらに人数分で等分します。「②配偶者と直系尊属(父母、祖父母等)が相続人」なら、配偶者が2/3、直系尊属が1/3。直系尊属が複数人いるときは、1/3を人数で等分します。「③配偶者と兄弟姉妹が相続人」の場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4。兄弟姉妹が複数人いるときは、1/4を人数分で等分します。

 

前出の女性のケースでは、子の数で遺産を等分すれば良い、という単純な話。ただお金は人を変えるもの。「1円でも多く遺産がほしい」と、仲の良かった家族でも揉めることは珍しくありません。そこで遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所に遺産分割の調停、または審判の申し立てをすることになります。

 

裁判所『令和4年 司法統計』によると、家庭裁判所が取り扱った遺産分割事件は、2022年の1年間で1万2,981件。そのうち調整が成立したのが6,857件。そして遺産総額1,000万円以下が2,296件。1/3を占めています。相続争いというと、お金持ちの家庭で起こることと考えがちですが、実際は一般の家庭でも多く発生しています。

 

[参考資料]

株式会社Clamppy/「STEP債務整理」『夫に内緒で借金をしたことがある主婦へのアンケート』

法テラス『法定相続分とは何ですか』

法テラス『遺産分割協議がまとまらない場合には、どうすればよいですか。』

裁判所『令和4年 司法統計』